ディープシークについては、オープンAIのデータを不正に利用したのではないか、あるいは中国の印象を悪くするような回答を検閲で規制しているのではないか、といった疑念も出ている。

それでもベンチャーキャピタル企業ノースゾーンのパートナー、サンジョット・マルヒ氏は「ディープシークの企業としての未来を予測するのは難しいが、(業界の)構造的な影響はかなり広範囲に及んでいるように見受けられる」と指摘した。

 

業界への警鐘

調査会社ピッチブックのデータによると、昨年ベンチャーキャピタル企業によるAI企業への投資額は米国が1000億ドル弱だったのに対して、欧州は約158億ドルにとどまった。

今年1月22日には、トランプ米大統領がソフトバンクグループ、オープンAI、オラクルによる最大5000億ドル規模のAIインフラ向け投資プロジェクト「スターゲート」を発表したばかりだ。

一方で欧州におけるAI投資は比較的低調な状況にある。

オープンAIやメタ、アンソロピック、グーグルといった米国勢が並ぶ支配的な基盤モデルの市場で、欧州勢ではかろうじてフランスのミルストラルだけが名を連ねている。

そこにディープシークが登場して注目を集めた。1月に公表した論文で、同社の大規模言語モデル「V3」の学習に際して、エヌビディアのそれほど先端的でない半導体「H800」を使って費やしたのは600万ドル弱だったと明らかにしたためだ。それ以降、ディープシークのアプリはアップルのアプリストアのダウンロード数ランキングでチャットGPTを抜いて首位に立っている。

コストか安全性か