元韓国大統領の全斗煥
全斗煥大統領(当時)は1980年に戒厳令を発動した KAKU KURITAーGAMMA-RAPHO/GETTY IMAGES

しかし過去には韓国の大統領が内乱などの罪に問われ、有罪となった例がある。

1979年12月に軍事クーデターで権力を掌握し、80年から88年にかけて大統領を務めた全斗煥(チョン・ドゥファン)は、後に内乱などの罪に問われて終身刑を宣告された。公判で焦点となったのは、80年5月に戒厳令拡大を発動した行為だった。

韓国の最高裁で全の終身刑が確定したのは97年のこと。武力を用いて権力の座に就いた者、あるいは非民主的な手段で憲法機関の権限行使を妨げた者を処罰する最高裁の権限が確認された形だった。

「共に民主党」非難に終始

特筆すべきは、全が反乱の「首謀者」として罪に問われたことだ。検察は今回、尹についても同じ容疑で捜査を進めている。

最高裁の前例に照らすと、尹が内乱罪で処罰される可能性は高い。こうしたなか、尹は12日の演説で、最大野党の「共に民主党」こそ一貫して憲政を覆そうと画策していると非難。国政が彼らの手に渡れば韓国は崩壊するだろうと次のように警告した。

「彼らが大統領の座に就けば、わが国の安全保障と経済の基盤である韓米同盟と韓米日協力が再び崩壊することになるだろう。北朝鮮は核・ミサイル能力をさらに発展させ、われわれの命を脅かすだろう。そうなれば、この国の未来はどうなるのか」

共に民主党が政権に復帰したら経済に打撃をもたらし、半導体産業や原子力産業が破滅するだろう。憲法違反の法律を次々と成立させるだろう。中国製の太陽光発電施設によって国中の森林が破壊され、組織犯罪がはびこり、将来の世代は破滅するだろう。尹はそうも述べた。

右翼の活動家と同じ主張を繰り返す尹大統領
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