読み終えた後、自伝はパチーノの魅力を説明できているかと私はセリーヌに尋ねた。「思わない。そもそも本人が自分の魅力を分かっていないのだから」と彼女は答えた。

スターの資質よりも自分は運に恵まれたと、パチーノは考えている。あのカリスマ性とハイテンションなエネルギーはスクリーンと舞台でのみ発揮され、彼自身にも説明ができない。

演技をしているときのパチーノは、生きているという手応えを周囲の誰より感じているように見える。そのあふれる生命感の出どころを知るためのヒントが、この自伝には潜んでいる。

パチーノの語りを貫くのは生きることへの欲望だ。この地上にいるのが彼はとにかく楽しいらしく、幸運な巡り合わせに今も驚きを隠さない。

「過去を振り返るなと人は言うが、私は過去を振り返り、そこに見えるものが大好きだ。自分が存在してきたことがうれしくてたまらない」

こうもつづる。「こんなことが本当に自分の身に起きたのかと思うとくらくらする」。気持ちは分かる。人生が違う方向に転んでも、ちっとも不思議はなかったのだから。

だがトラブルを抱えて若死にする代わりに、彼はアル・パチーノになった。そしてアル・パチーノとして目いっぱい突っ走ってきた。

セリーヌほどではないかもしれない。それでも「アル・パチーノ短期集中講座」を終えた私は、彼が存在していることがうれしくてたまらない。

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