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7月にペンシルベニア州の集会で支持者を前に演説 SPENCER PLATT/GETTY IMAGES

トランプはその生涯を通じて今も移り変わる自分の地位にひたすら執着してきたが、手に入れた地位を失うのは、誰にとっても悲しいことだ。この点を説明するために、私は常々、ある些細でばかばかしい例を挙げてきた。

私はあまりに出張が多いので、航空会社から超エリート会員の扱いを受けてきた。上位0.1%に入る上客向けに用意されたステータスよりも高い、内緒の地位だ。しかしある年、育児休暇を取ったためその地位を失った。それでも表向きの最高ステータスは維持できたが、個人的にはすごく深刻な喪失感があった。

本当にばかばかしい例だが、そういう喪失感に由来する怒りがあると復讐心に火が付くのは人の常。もちろんトランプを忌み嫌う人はいるが、それより多くのアメリカ人が彼に共感し、彼を信じようとしている。

③世界的にも「現職」が不利

トランプは世界的な「反現職」の波に乗った。21年1月にトランプがホワイトハウスを去った時点で、彼の職務能力を評価する人は34%だった。ところが最近の世論調査では、当時のトランプを評価する人が48%に増えていた。その間に34件の重罪で有罪評決を受け、2度目の弾劾訴追を受けていたにもかかわらずだ。

なぜそんなことが可能なのか? 端的に言えば、今の時代に豊かな民主主義国家で野党側にいることには特別な利得があるからだ。この1年は世界中で記録的な数の民主的選挙が行われたが、政権与党が追い風に乗って勝利した例は一つもない。

物価が上がるのは政府のせい。そう思うのが人間の心理
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