アメリカから帰国後、ボウトはロシアの国営メディアから英雄扱いされ、政府からも温かく迎えられた。昨年には地方議会の議員に当選もした。そんな彼がフーシ派のために武器を調達するとしたら、ロシア政府も承知の上か、場合によっては政府の支援を受けているということになる。

ロシア政府はフーシ派支援に前向きな姿勢を見せている。ロイター通信は9月、イランの仲介でロシアが超音速対艦ミサイルP-800オーニクスの供与に向けた交渉をフーシ派と行っていると伝えた。

300キロの射程を誇るオーニクスが供与されれば、商船、そしてその警護に当たる西側諸国の海軍の艦艇にとっても、紅海を航行する危険は今よりはるかに高くなる。紅海での運航を続ける海運会社がさらに減る可能性もある。

「公海という概念そのものが問われている。また戦略的、作戦的、戦術的に大きな影響をもたらすような新たな手法を国家もしくは国家以外の勢力が見つけた場合、他の勢力もそのまねをするようになるだろう」と、英海軍のダンカン・ポッツ退役海軍中将はフォーリン・ポリシーに語った。ポッツは10年代前半にインド洋でEUの海賊対策作戦を指揮した人物だ。

「これが状況を大きく変えるのではないかと懸念している。高度な兵器からの防衛には高度な兵器が必要だ。それだけの能力と十分な数の(発射用)プラットフォーム、そして(新たな状況に)対応しようという意思を持つのは一部の国の海軍だけだ」

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