<TICADの開催でアフリカ市場の潜在力への注目が高まる一方で、越境テロは依然として日本企業の進出にとって大きな脅威となっている>

2025年8月、横浜で開催されたアフリカ開発会議(TICAD)において、石破茂首相は「インド洋・アフリカ経済圏イニシアティブ」を発表した。このイニシアティブは、アフリカ中部のザンビアやマラウイからモザンビークのナカラ港を経てインド洋に至る経済回廊の開発を支援するものだ。人口の若さと成長潜在力に着目し、日本は今後3年間でAI分野を中心に3万人の人材育成を目指す方針を示した。

このような取り組みは、日本企業のアフリカ進出を後押しするが、同時に地域特有のリスクへの対応が求められる。特に、越境テロは事業継続性を脅かす重大な要因であり、ソマリアやサヘル地域でのテロ組織の動向を的確に把握する必要がある。

ソマリアを拠点とするアルシャバブの越境テロ

ソマリアを拠点とするアルカイダ系テロ組織アルシャバブは、資金力と組織力を背景に、東アフリカで深刻な脅威となっている。

2007年に台頭して以来、ソマリア国内で政府やアフリカ連合(AU)の部隊を標的とした攻撃を繰り返してきたが、2010年にアルカイダへの忠誠を誓い、活動範囲を国外に広げた。同年7月、ウガンダの首都カンパラのパブリックビューイング会場で爆破テロを実行し、70人以上が死亡。南アフリカのサッカーワールドカップ決勝戦の観戦中だった市民が犠牲となった。

隣国ケニアでもアルシャバブによる越境テロが頻発している。2013年9月、首都ナイロビの高級ショッピングモール「ウェストゲート」で発生した襲撃では、60人以上が死亡し、欧米人を標的にした計画性が明らかになった。

2015年4月にはケニア東部ガリッサの大学で150人以上が犠牲となる大規模テロが発生。2019年1月にはナイロビの外資系企業が入る複合施設「デュシットD2」への襲撃で、20人以上が死亡した。

この事件では、アルシャバブがトランプ政権のエルサレム首都認定への報復として犯行声明を出し、アルカイダ指導者ザワヒリ(当時)の指示を強調した。アルシャバブの越境テロは、ケニアやウガンダなど観光や外資系企業が集まる地域でのリスクを高めている。

サヘル地域を拠点とするJNIM、ISGSの越境テロ
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