国家絡みのテロは国際協力より軍事的緊張が先行する

一方、カシミールでのテロが危険なのは、それが国家間戦争に発展する潜在的脅威が内在するだ。インドはパキスタンがテロ組織を支援していると非難し、パキスタンはインドの軍事行動を主権侵害とみなす。

この対立は、両国のナショナリズムや国内政治を刺激し、誤算や偶発的な衝突が戦争に発展するリスクを高める。特に、核保有国同士の対立は、地域を超えた影響を及ぼす。中国はパキスタンと「一帯一路」構想で連携し、カシミールに経済的投資を拡大。

インドは中国の影響力増大を警戒し、地政学的な緊張が高まる。米国や国連は調停を試みるが、両国の対立は根深く、解決は容易でない。

カシミールでのテロは、単なる暴力行為を超え、印パ間の戦争リスクを増大させる。2025年4月22日の攻撃は、両国の報復の連鎖を引き起こし、核戦争の懸念さえも聞かれる。アルカイダやISのテロが国家間の国際協力を誘発するのに対し、国家絡みのテロは国家の主権や領有権の対立を激化させる。

カシミール問題の解決には、テロの根絶に加え、印パ間の対話と国際的な調停が不可欠だ。国家間の対立が絡むテロは、地域の安定を脅かし、世界平和に深刻な影響を及ぼす。国際社会は、このリスクを軽減するための協力を強化する必要がある。

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