守秘義務を破っても良い場合

恐らく、日本社会には膨大な数の性暴力の暗数がある。

調査報告書によると、中居正広は守秘義務の解除を拒否したという。私は問題発生の当初から、「守秘義務によって被害者の口を塞いではいけない」と述べてきた。「それでは示談の意味がない」と主張する人もいるが、ケースバイケースで判断されるべきだろう。

今回のように公人と言える立場の人物が加害者となる場合、守秘義務によって真実を闇に葬ることは、明らかに公益に反する。そもそも、こうした事案で権力者が示談金と引き換えに守秘義務を課すことは、倫理的に許されないと私は考えている。札束で弱い者の口を塞ぐな、と言いたい。

実は、イギリス政府も私と同じことを考えている。イギリス政府は今年1月、大学内で起きたセクハラなどの事案について、被害者の口封じを目的とする秘密保持契約を認めない法律を発効させると発表した。

平成時代の社会人の常識は、もはや無用の長物になってしまった。かつて就活生だった私に「セクハラを上手にかわしてこそ一人前」と説いた社員たちは今、60代ぐらいになっている。どこかで悔い改めているのだろうか。

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