野党共闘は自業自得の結果か、未来への第一歩か

これに対して、野党共闘の不振をどう見るべきか。立憲民主党がコア支持層の理解を丁寧に得ることなく、共産党との協力という「禁断の果実」に手を出した自業自得の結果に過ぎず、急ごしらえの「付け焼き刃性」を有権者に見透かされたと見る向きもあれば、戦略的連携関係の「型」がどうにか整ったことが重要で、来る2022年夏の参議院選挙や次の衆議院総選挙こそが本番だと見る向きもあるだろう。今の立憲民主党は、2017年10月総選挙時に希望の党への合流を巡って民進党が大混乱する中で枝野幸男代表が一人で立ち上げたという創業ストーリーだけではなく、2009年政権交代以来の旧民主党の様々な歴史をも背負っている存在だ。今後の政権戦略を描き直すにあたって、どこまで遡って総括の射程を広げるかを国民は見ている。

もう一つ、躍進した日本維新の会は、近畿圏以外でも比例票を積み上げ、30議席増の41議席を獲得した。吉村洋文大阪府知事のコロナ対策や松井一郎大阪市長の改革路線が実績として評価されたことに加えて、「自民党にも野党共闘にも投票したくない層」の受け皿となることに成功したことも勝因だ(典型は京都1区)。今後はいかに国政政党として自前の政策を「是々非々」で実現させていくかが問われていくであろう。

国政選挙の本質は、全国民の代表である「議会人」を選ぶことだ。議院内閣制のもとで政府(行政府)を率いて国民の望む政策を実現するグランドデザインを描く代表を吟味し選定するのが本来の選挙である。しかし、今回の総選挙に限らず日本の選挙では、抽象性の高い政策、特に気候危機や経済安全保障といったグローバル・アジェンダは争点になりにくい傾向があり、むしろムラ的共同体の人間関係に基づいて「人」をどう選ぶかが主眼となりがちだ。小選挙区比例代表並立制という現行選挙制度の是非を含めて、有権者の半数近くが投票に行かないという低投票率の現状をどう変えるか、選挙のあり方をどう改善していくかが今後の重要な課題だ。

11月10日に招集される予定の特別国会で第2次岸田内閣が発足する。既に自民党は幹事長が茂木敏充外相に交代することになっている。茂木新幹事長が、コンプライアンスを含めた党内改革をいかに実現するかも注目されよう。

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