しかし来るべき総選挙の争点は、普通に考えれば自民党の裏金問題だろう。岸田首相が事実上の辞任に追い込まれた原因であるし、自民党の内部調査と処分、さらに政治資金をめぐる改革が、まったく不十分なまま今国会が終了してしまったことについて世論の不満が大きいことは、各種調査で明らかになっている。

自民党の総裁選候補者たちが、この政治資金改革についてどこまで徹底できるかは不透明だ。自民党は「THE MATCH」という総裁選を宣伝するポスターを作成した。「日本の未来と「マッチング」する新しいリーダーは誰なのか?」という意図でつくられているが、そのデザインでは安倍元首相を中心に据えるなど、これまでの自民党の刷新というより継続を印象付けようとしている。お笑い芸人のプチ鹿島氏も述べる通り、自民党は「刷新感」は出したいが「刷新」はしたくないようにみえる。

総裁選の候補者では、小林鷹之前経済安保相のように、安倍派議員の要職起用を主張している人物もいる。一方、これまで組織的な裏金形成はなかったとされてきた麻生派で裏金がつくられていたことが最近発覚したこともあり、小泉進次郎氏のように、政策活動費の廃止や旧文通費の透明化に言及する候補も出てきている。

総選挙の大義名分化

しかし、このタイミングで政治資金改革について述べ出した総裁候補たちを本当に信用できるのか。小泉進次郎元環境相は裏金議員の公認について「厳正に判断」すると述べたが、歯切れが悪い。そもそも自民党が裏金議員だと認めた人数は報道よりも少なく、処分相当だとみなされた人数は更にそれよりも少ない。この判断を覆して、100人近くの議員を非公認にすることは現実的ではない。

総選挙になれば、野党勢力は政治資金パーティーの禁止などより強い政策を掲げてこの問題を追及することになることは確実だ。もし裏金問題が主要争点化すれば、誰が総裁になっても守勢を強いられることは明らかだ。どう弁明したところで、裏金議員を公認しているじゃないか、ということになるからだ。自民党としては、それは避けたいはずだ。

事実上の総裁選が始まって以降、自民党の支持率は回復傾向にある。その理由はメディアで毎日主要候補の報道がなされることで「総裁選ジャック」が生じているからだという。

総裁選後の「憲法改正ジャック」に警戒せよ
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