自然災害を予測し、未然に発災後の混乱を防ぐべく期待されるのが気象データの活用だ。
災害の多い日本だが、気象データの利用が進んでいるかと言えばそうでもない。ビジネスに生かそうと、気象庁が音頭をとって17年3月に「気象ビジネス推進コンソーシアム」を設立したが、その範囲はまだまだ限定的だ。
今のところ、小売業で冷たい飲み物やアイスクリームといった気温に売れ行きが左右される商品の仕入れを調整したり、傘を多めに店頭に用意しておくといった程度の活用例がほとんどだという。
世界最大の気象情報サービス会社であるザ・ウェザー・カンパニーやビジョン・コンサルティング社で気象データを用いて企業や官公庁向けにコンサルティングをしてきた加藤陽一氏は「より高度な気象データ活用の事例も増えているが、欧米と比較すると遅れをとっている」と語る。
「日本でも、あらゆる業種でビジネスに有効活用できる余地が残っている。特にモビリティ分野ではその重要性や有用性は高まっている」
気象データの利用によって可能になること
公共交通の運行や人の移動は気象の影響を大きく受ける。では災害対策や事故予防につながる部分で、これからどんな気象データをモビリティ分野で活用することが可能だろうか。
新幹線や特急などは前日の気象情報を元に計画運休するようになってきているが、やはり方針としてはできるだけ止めずに、遅れを出したとしても可能な限り運行するようだ。予測に基づく運休に積極的とは言えない。
一方、アメリカのアイダホ州では、寒冷地のバス運行の予測に気象データを活用し、予め運行が難しい場合の周知や天候急変への対応を実施して、全体コストの最適化を行っている。また日本ではNTTドコモは気象データ、人流データ、タクシー運行データを組み合わせて雨など悪天候の日でも安全で効率的な運行ができるAIタクシーを検討している。気象データには不確実性があるが、それを念頭に置いた上でも十分に利用価値はある。
また、公共交通が運行しているから大丈夫という判断ではなく、ダイヤの乱れや交通事故が懸念される雨や雪が予測される日は、学校や企業側が思い切ってオンライン授業や在宅勤務に切り替えるなども検討してみてはどうだろうか。