それにもかかわらず、制度の廃止を打ち出した今回の文書にはなぜかしぶとく「育成」が残った。違和感を持たないだろうか。

(1)人材の「確保」に目的を変更した新制度に置き換えるのでもなく、(2)人材の「確保」を目的に最近作られたばかりの特定技能制度に一本化するのでもなく、(3)人材の「確保」と「育成」を目的とする新制度を作ってそこに置き換えようとする。

政府はなぜそこまで「育成」に固執するのだろうか。

そのヒントは、転籍(転職)について触れた次の箇所にあるかもしれない。

「新たな制度においては、人材育成そのものを制度趣旨とすることに由来する転籍制限は残しつつ(略)従来よりも転籍制限を緩和する方向で検討すべきである」。つまり、「転籍制限の緩和」を制限する論理として「育成」が持ち出されているのだ。

ここには外国人に上から目線で「育成してあげる」と言いながら、その同じ言葉で自由を奪ってきた技能実習の欺瞞的なあり方が残響してはいないだろうか。

新制度への移行は本当に「廃止」の名に値するのか、まだまだ注視が必要だ。

<4月25日号掲載>

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