松田氏(2012年の衆院選で日本維新の会から比例南関東で初当選)は前述した2014年の衆議院選挙で次世代の党から神奈川7区から出馬したが落選。下野後は、活動を主にネット動画に移したが、現在の保守論壇中央(―HANADA、WiLL、正論などの保守系論壇誌、DHCテレビなどのネット放送局など)の中枢に居るわけではない。
赤尾氏は右翼活動家で元衆議院議員の赤尾敏氏の姪として一部の界隈では著名だが、これも同様に保守論壇中央で大きな活躍の場があるというまでは言えない。吉野氏については歯科医であり、参政党以前では保守論壇中央どころか保守界隈にあってもほぼ無名の評価だったと言える。
このように、参政党の「看板」は唯一武田氏を除き、保守論壇の周縁に位置する人々であり、保守界隈の重鎮らがこぞって支援した次世代の党の支持構造とは大きく異なる。参政党は今回の参議院選挙で選挙区すべてに候補者を立てたが、この中でも保守界隈で名の知れた人はほぼゼロであるといってよい。今回保守論壇中央は、個別の自民党議員(―青山繁晴氏、宇都隆史氏、片山さつき氏、山谷えり子氏、山田宏氏...いずれも全国比例)などの支持に徹した(図参照)。
よって参政党は、新興の保守政党の主張をトレースしているものの、保守論壇中央からの支持らしい支持は無く、よってそれに付帯するネット保守からの支持も勢いを欠く、という処であった。つまり参政党は、いっけん次世代の党のような「ネット保守政党」に見えるが、その支持基盤の実態は異なっているのである。
だがこれを以て、今回参政党が2014年の次世代の党と類似した得票(比例で約176万8000票)を得た理由はますます摩訶不思議になる。参政党が単なる「ネット保守政党」なら次世代の党の得票より明らかに減るのが自然だからだ。つまり参政党はネット保守から一定の支持を受けたものの、それ以外の「何者か」から大きな得票を受けたのである。彼らは誰なのか。
強烈な「オーガニック信仰」
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参政党の三つの重点政策の二番目、「食と健康、環境保全」にその答えが隠されている。参政党公式サイトによれば、"化学的な物質に依存しない食と医療の実現と、それを支える循環型の環境の追求"と謳って「医療費抑制」「有機農業・農法等の推奨」などとあり、やや大味で漠然としている。共通して分かるのは"健康"への執拗な拘りであろう。
子供たちの話だけじゃないんですよ。先輩方、年配の方々にも関係があるお話です。学校の給食でいいもの出すでしょ。要は、国産というか千葉県産に限定したらいいんですよ。千葉県産の物。しかも有機無農薬。ね、できれば指定栽培、そういったものに変えるんです。コストは3、4倍に上がりますよ。いいんです。だってそのお金は一次産業やっている人にいくから。(中略)さらに子供にいいをモノ食べさせたら、子供の病が減ります。荒れなくなります。学力が上がります。絶対そうなりますから。はい。そしたらそこで医療費が下がるんですよ。子供の医療費無償化をするんだったら、学校給食にお金をかけてください。
―2022年6月29日神谷氏千葉での街頭演説,強調筆者