ドイツ情報当局は、イラン最高指導者ハメネイ師の財団が管理するハンブルク・イスラミックセンターとモスクを「欧州で最も活発なイランのプロパガンダの中心地の1つ」と呼ぶ。アサディもここを訪問していた。

ロンドンにあるイスラミックセンター・オブ・イングランドやオスロのイマーム・アリー・センターにも類似の疑惑が持たれている。

一方イラン当局は、アサディの拘束、司法手続き、判決の全てが国際法違法だと主張。イランのザリーフ外相はこれを「偽旗作戦」だと非難し、アサディの人権が侵害されているとも抗議している。

アメリカとイランとの間で核合意をめぐる駆け引きが続くなか、EU諸国がイランに向けるまなざしは従来ほど宥和的ではない。この4カ月間に3人のスポーツ選手を処刑したイランを、今年開催予定の東京五輪から締め出すべきだとする意見もある。19年の安倍晋三首相(当時)のイラン訪問中、ホルムズ海峡付近で日本のタンカーが何者かに攻撃されたのも記憶に新しい。

日本はかねてよりイランを「伝統的親日国」と見なし宥和政策を取り続けてきた。その妥当性について、再考すべき局面に差し掛かっていると言えよう。

<本誌2021年3月2日号掲載>

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