Joshua Franklin
[ニューヨーク 5日 ロイター] - 米ゴールドマン・サックス・グループ<GS.N>の上級幹部はこの夏、ニューヨークの超人気レストランにプライベートエクイティ(PE)約20社の代表を招待した。
ただその中にブラックストーン・グループ<BX.N>のスティーブン・シュワルツマン最高経営責任者(CEO)や、KKR<KKR.N>のヘンリー・クラビス、ジョージ・ロバーツ両共同CEOらはいなかった。
実際に招かれたのは、H・I・Gキャピタル、オリンパス・パートナーズ、チャールズバンク・キャピタル・パートナーズといった企業のトップだ。これらはいずれも「ミドルマーケット」が専門。つまりゴールドマンの定義では、5億─30億ドルの合併・買収(M&A)の取引を指す。ゴールドマンの投資銀行としてのブランド確立に貢献してきた数々の巨大案件と比べると随分規模が小さい。
それでもゴールドマンの投資銀行部門共同責任者グレッグ・レムカム氏と、金融スポンサーズ・カバレッジ・グループを率いるアリソン・マス氏はいずれも、同社が比較的小型のレバレッジド・バイアウト(LBO)の助言業務に真摯に取り組んでいると強調した。
実際同社は大掛かりな採用活動でそれを裏付けしている。PEを担当する金融スポンサーズ・グループ内にM&Aの専任チームを立ち上げ、過去3年で人数をゼロから27人まで増やしてきた。
こうした動きからは、ゴールドマンが2020年までに収入を50億ドル増やすという目標達成に向け、少しでも収入源を多様化してリスクヘッジにつなげることを目指している様子が分かる。
ゴールドマンは、規模が小さめのディールでもこれまで相応の実績を残してきた。ディーロジックのデータでは、5億─30億ドルの案件でPE業界から得た手数料収入のランキングを見ると、ゴールドマンは少なくとも2013年以降トップ3の座を維持している。そして今年は、14年以来の首位に立つ勢いだ。
マス氏は「われわれは投資銀行部門の中でシェアを拡大できそうな分野に目を向け、ミドルマーケットに商機を見出した」と語った。
ゴールドマンのデービッド・ソロモン新CEOは、変動の大きいトレーディング収入への依存度を下げ、投資銀行部門を一層拡充することを増収戦略の柱に掲げている。
この戦略を実行する上でハードルの1つになるのは、十分な幹部人材の確保だ。伝統的にゴールドマンの金融スポンサーズ部門は、外で人脈を築く前の投資銀行家の訓練の場という対内的な組織とみなされてきたが、ミドルマーケット専門投資銀行の多くでは逆に小規模なディールを行うPEとの長期的なつながりを築いてきた人物が日の目を見る傾向がある。
ゴールドマンはその対策として、モルガン・スタンレー<MS.N>やクレディ・スイス・グループ<CSGN.S>などライバル勢のPEをカバーしている上級幹部の引き抜きに動いている。
またマス氏と金融スポンサーズ部門内のM&Aチームのグローバル責任者デービッド・フリードランド氏は、同チームを特に欧州でさらに大きくする計画も明らかにした。
ミドルマーケット専門のPEであるリンカーンシャー・マネジメントのT・J・マロニー会長兼CEOは、事実として過去数年間はゴールドマンからのディールが増えたと説明した。
同じくミドルマーケットに投資するPEのHGGCのリッチ・ローソン共同創設者兼CEOも「ゴールドマンはミドルマーケット分野でかなり優秀な何人かの人材を採用して頑張っている」と述べた。