筆者が在籍した頃とは、言葉は少し変わっている。しかし、ニュアンスはほとんど変わっていない。

同社で幹部社員として身近で働いていたのでよく分かるが、代表の柳井正氏は、お客様視点ではないこちら都合のアイデアや、過去の延長で何も挑戦していない企画に対しては、かなり厳しい。正しさへのこだわりも、相当だ。「個人の成長なくして、企業の成長はない」も口癖で、本気で思っている人なのだ。

逆に言うと、この「社外規範」と「社内規範」を理解せずに、有名だから、給与が他より高いから、という理由で入社すると、大変な目にあうはずだ。

過去の延長ではない革新的な企画を出すのは、本当に難しい。本気で自分を成長させるには、時間やコストを含めて、自分へのかなりの投資も必要だ。しかし、それらの行動や考え方を総動員して、今までなかった価値ある服を創ると決めたのがファーストリテイリングである。

共鳴しないまま入社すると地獄かもしれない

その「社外規範」や「社内規範」を知らずに、もしくは共感せずに入社したらどうなるか想像してほしい。仮に、それなりの仕事をすればいい、何事も前例に従えばいいという働き方が習慣になっている人が入社すれば、地獄かもしれない。

逆に、共鳴して入社した人にとっては、自分が出した企画が否定されても、その意味が理解できるだろうし、「ゼロから考え直してほしい」と要望される意味も理解できるだろう。そして、いつしか自分の企画が通り、それで世の中を少しでも変えることができれば、たまらなく嬉しいはずだ。

数年前、ブータンを旅した時に、ガイドがユニクロのダウンを着ているのだと嬉しそうに見せてくれた。私がかつてファーストリテイリングで働いていたことなど、伝えていないのにだ。ブータンにはユニクロの店舗がないので、タイの友人に買ってもらい送ってもらったそうだ。

その時、私はとても嬉しかった。言葉こそ在籍当時から多少変わっているが、「服を変え、世界を変え、常識を変えていく」に共感・共鳴して働いていたからだ。

「社外規範」「社内規範」は、多くの会社で明記されていることが多い。会社によって呼び方は違うが、「企業理念」「社訓」「社是」や、「ミッション」「ビジョン」「バリュー」などとして書かれている。

経営者は「社外規範」「社内規範」の両方を明確にせよ

ここからは、それらを総称して「理念」と表現するが、経営者の方は、再度、自社の理念が本当に機能しているか見直していただきたい。

そして、経営者自らが、本当に実現したいことか問い直していただきたい。社員全員で新しい理念を作成してもいい。とにかく魂のこもった理念にしてほしいのだ。なぜなら、言葉は素晴らしいが、形骸化している会社も多いからだ。

会社批判を繰り返す社員も減らせる