大切なのは、「社外規範」「社内規範」への共鳴
その「もっと大切なもの」とは何か。
それは、人はどんな時に本気で働けるかということ。本気で働くとは、多少の困難が押し寄せようとも、本気で跳ね除け、その使命をやり遂げようと思える状態のことだ。
筆者は新卒でリクルートに入社し、その後転職をし起業をしても、ずっと「人と企業」に関わる仕事をしてきた。その中で見つけた、筆者なりの真理がある。
それは「社外規範」と「社内規範」への共鳴だ。
この2つに共鳴していれば、人は本気で働ける可能性が高い。共鳴していなければ、たぶん本気ではなく、お金のためや、単なる役割として仕事をこなすだけになるかもしれない。
先に、この2つの言葉を説明しよう。
「社外規範」とは、筆者の造語である。これは、会社がどんな価値を出して、世の中に存続し続けようとしているか、ということ。
どんな会社も、社会に対して価値を提供しているからこそ、対価を得ることができ、永続することができるのだ。もちろん、時代によって事業内容が変化したり、事業内容が増減することもあるだろう。社外規範とは、事業に対する会社のおおもとの考え方のようなものだ。
「社内規範」とは、その企業における理想とされる行動や考え方、つまり行動指針のようなものだ。分かりやすく言うと、どんな行動や考えが良いとされているのか、評価されるのか、ということだ。
これは、企業理念やビジネスモデル、マーケティング戦略などと密接に関係している。同じ業界でも、理念や競合との戦い方が違えば、社員に求められるものはまったく違う。
ファーストリテイリングの「社外規範」「社内規範」
例えば、筆者がかつて在籍したファーストリテイリングは、企業理念の冒頭にステートメントを明記している。「服を変え、世界を変え、常識を変えていく」(HPより)である。
社外規範はその下のミッション(Mission)に書かれており、「本当に良い服、今までにない新しい価値を持つ服を創造し、世界中のあらゆる人々に、良い服を着る喜び、幸せ、満足を提供します」(HPより)とある。つまり、どんな価値を世の中に提供し続けて、自分たちが永続する覚悟なのか、それを明確に掲げているのだ。
そもそも、この志に共感し、共鳴できなければ、基幹社員として本気では働けないだろう。
ここで敢えて基幹社員という言葉を使ったのは、現在は、多様な価値観の人が社員になれるように地域正社員という制度もあるからだ。もちろん地域正社員も、世界を変えるところまでは携われないかもしれないが、共感・共鳴できるほうが、はるかに自分の仕事に誇りが持て、やり甲斐が増えるはずだ。
また、社内規範は価値観(Value)として、「お客様の立場に立脚」 「革新と挑戦」 「個の尊重、会社と個人の成長 」 「正しさへのこだわり」(全てHPより)が挙げられている。言葉としてはありきたりと思う読者もいるかもしれないが、これを本気で社員に求め続けているのだ。