歩きスマホ同士ならともかく、いっぽうが普通に歩いていたらよけられるはずだ。お年寄りや、体が不自由な方ならともかく、そうでもないのに、よけられないのは、なぜか。

「注意力」というスキルが足りない?

ラッシュ時の駅や、スクランブル交差点など、別々の方向に歩く人が混ざり合う場所で、人とぶつかってしまうことがある――。

そのような人は、気を付けたほうがいい。慢性的に、周りへの注意が足りない人だからだ。

同じ方向で歩いている人が多い場所でも、ぶつかるのであれば、かなり注意力が足りない。もしそういう人がキャリーバッグなどを使う場合は、よほど気を付けたほうがいいだろう。

「キャリブレーションスキル」――いわゆる「先回りの観察眼」が足りないからだ。

当然のことながら、このようにキャリブレーションスキルが足りない人は、「部下育成」には向いていない。

とくに昨今は、自分の感情をうまく表現できない若い人が増えている。意思表示が苦手な「コミュ障」と呼ばれる人も、少なくない。

だから、言語化されない部下の心の動き、表情や姿勢から発せられるメッセージを、しっかりキャッチするためのキャリブレーションスキルが不可欠なのである。

部下に「辞めたい」と言われてからでは遅い

現場で支援をしていると、キャリブレーションスキルが低いミドルマネジャーをよく目にする。

部下によく声をかけるし、飲み会にも積極的に誘う。はたから見ると、部下想いの上司のように見える。にもかかわらず、部下をうまく育てられないのだ。

部下からは「わかってくれてない」と思われているから、仕方がない。キャリブレーションスキルが低いからだ。

問題なのは、キャリブレーションスキルが低いことをなかなか自覚しにくいことだ。部下から「辞めたい」と言われてはじめて気づくのでは、遅すぎる。

優秀な客室乗務員は、「乗客にコールボタンを押されたら負け」と常に考えているそうだ。コールボタンを押される前から、乗客がこちらを見る目、見ていなくても行動の変化などを察知し、先回りして声をかけることが大事であると意識しているからだ。

部下育成だけでなく、これからの時代に必要なスキルである。

このようなスキルを身につけたければ、相手の一挙手一投足を見つめ、表情の変化を読み取り、次に自分が何をしたらいいのかを先回りして観察する習慣を身につけたい。

人混みに入っても、自分が向かう先のことばかり考えず、周囲に気を遣いながら進む努力を続けるのだ。歩きスマホをしている人を、ひらりひらりとかわすぐらいに感度を高めよう。日々の努力で、自然と身に付いていく。

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