中ロの影響力の浸透
そして最後に、極右政党の台頭は、ヨーロッパに中ロの影響力がこれまで以上に浸透する契機にもなりかねない。
ドイツでは4月、AfDのマクシミリアン・クラフEU議員が中国やロシアから資金を受け取ってそれらのプロパガンダを拡散していた疑惑に関する裁判が始まり、事務所も捜索を受けている。
極右と中ロの間にある思想的な差は、実はそれほど大きくない。
どちらも多文化主義などリベラルな価値観に否定的で、強い国家権力を好み、ムスリムなど外国人を嫌う傾向が強い。そしてどちらもEUの強い結束を嫌う。
とりわけロシアに関してそれは鮮明で、多くの極右政党指導者はプーチン大統領と緊密な関係にあった。ウクライナ侵攻後、さすがにそのトーンは控え目になったが、それでも極右政党支持者にはウクライナ侵攻に関して「即時停戦」を求める意見が強く、「徹底抗戦」を支持する欧米の一般的論調とは温度差がある。
ロシアほどでなくても、中国に関しても、似たような傾向は見受けられる。
フランス愛国連合のルペン党首はかねて「ヨーロッパがアメリカに近すぎる」と主張し、各国政府がホワイトハウスに追随する傾向を批判してきた。その延長で、香港や台湾の問題にヨーロッパがかかわる必要を疑問視している。
こうしてみた時、極右政党の躍進は中ロにとっても悪い話とは限らない。
だからこそ今回の欧州議会選挙の結果は、EU各国の政府や主要政党にとって無視できないインパクトを秘めているのである。
※当記事はYahoo!ニュース 個人からの転載です。
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