クリアビュー社によると、顔認識システムは離ればなれになった家族の統合にも役立つという。

さらにAIは通信などの解析にも利用されている。プライマーAI社はウクライナで、傍受されたロシア軍の音声通信をテキスト化し、データとして蓄積するシステムを運用している。

こうした技術と組み合わせることで、隠密性の高いドローン攻撃は、さらに効率的になるとみられる。

10月だけで6人以上のロシア軍の司令官がカミカゼ・ドローンに殺害されているが、これにAIが重要な役割を果たしたと指摘される。

「イーロン・マスクは英雄だ」

もっとも、ロシアもウクライナのドローン攻撃を、指をくわえて眺めているわけではない。ロシア自身もドローン攻撃を多用する一方、ドローンやミサイルの電波やレーダーを妨害するクラスハ-S4など対空電子戦システムを投入しているとみられる。

そのため、ウクライナのドローンはしばしばロシア側に撃墜されてきた。

ウクライナが開戦当初から多用してきたトルコ製バイラクタルTV2は、これまでリビアなどで「実績」を積み、一世を風靡した。しかし、翼幅が12メートルある機体は、コンパクト化が進む近年の軍用ドローンとしては大型の部類に入る(例えばロシア製オルラン10の翼幅は3メートル程度)。

そのため、7月に現地調査したアメリカの安全保障の専門家マーク・カンチアン博士は「ウクライナの多くのドローンパイロットによると、ドローンの果たす役割は限定的だ」と述べた。

ところが、その後ウクライナ側はジャミングをブロックする方法を開発している他、安定した通信回線を確保することでこれに対応してきた。

そこで重要な役割を果たしているのが、アメリカのスペースX社だ。宇宙ロケットビジネスを展開する同社は、人工衛星システム(コンステレーション)スターリンクを運用し、衛星を介したインターネットサービスを提供している。

ウクライナの情報担当相がTwitterを通じて各国のハイテク企業に支援を呼びかけ、これにスペースX創業者のイーロン・マスク氏が反応したわけだが、ともかくスターリンクを通じてウクライナ側はドローン操作を安定させているといわれる。

技術革新をよんできた戦争の歴史