ほとんどのアラブ諸国は、「イスラーム世界は皆兄弟」という建前とは裏腹に、パレスチナ問題に足を取られることを警戒している。そのうえ、トランプ氏は歴代の大統領のなかでもサウジアラビアとの同盟を重視しており、アラブの盟主たるサウジアラビアがパレスチナ問題に熱心でないことは、これに拍車をかけている。
そのため、トランプ案を批判するのが、イランやトルコなどアメリカと距離を置いている国ばかりであることは不思議ではない。このうちイラン政府はトランプ案を「世紀の反逆」と呼んで批判している。
また、イエメンのフーシ派やレバノンのヒズボラなど、イランから支援される武装組織もトランプ案を批判している他、「いくつかのアラブ諸国の共犯と裏切り」にも批判の矛先を向けている。
和平に反する和平案
イランやそれに支援される武装組織は、イラン核合意からアメリカが離脱したことをきっかけに、アメリカとの対立を深めている。今月初旬には、イラン革命防衛隊の司令官がアメリカ軍によって殺害されたことで、緊張は高止まりしたままだ。
これに加えて、今回の和平案の発表に合わせて、「イスラーム国」(IS)もイスラエル攻撃を警告している。
このタイミングでトランプ氏が、これまでにないほど偏った内容の和平案を打ち出したことは、イランやそれに連なる武装組織だけでなく、国際テロ組織をさらに刺激するとみてよい。少なくともその意味で、トランプ大統領の和平案は和平に反するものといえるだろう。
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