<次期政権にバンスを担ごうとする人々が掲げる思想は、まるでこれまでアメリカが敵対してきた権威主義国の主張そのもの>

世の中では常に目新しい「何々主義」「何々イズム」が現れる。新自由主義とか新保守主義もそうだが、そもそも元の自由主義、保守主義も曖昧模糊としているのだから、「新曖昧模糊主義」と言われるようなもので、訳が分からない。

アメリカでは、物事を2つに割って、黒か白かで二分法的なデス・マッチを展開することが多い。黒か白でない者は相手にされず、黒と白の両極はどんどん過激化していく。それが共和、民主両党の争いで、ここで使われるのが「何々イズム」などの新しいラベル、旗印なのだ。

直近の民主党政権、つまりオバマ、バイデンの政権では少数民族、移住者、LGBTQなどいわゆる少数派の権利が擁護され、女性の人工妊娠中絶の権利や環境保護などを推進する「意識の高い者」が声を高めた。これは「イズム」ではなく、WOKE(目覚めた者たち)という、上から目線の響きのするラベルでくくられた。

トランプ大統領は、この時民主党が置き去りにした白人困窮層の不満をあおって当選するや、民主党の支持層・利権、WOKEたたきに乗り出した。経済援助を担当する国際開発庁(USAID)を閉鎖して、資金が民主党系の諸団体(アメリカではNGOが対外援助を代行する部分が多い)に渡るのを止め、WOKEの思想的基盤となることの多い有名私立大学をたたき、LGBTQなど少数派への優遇策を縮小し、中絶への政府支出を停止した。

「伝統的な家族の価値観」の擁護