ワクチン未接種で重症化、ICUに運び込まれる妊婦がアメリカで急増

2021年8月12日(木)17時02分
レベッカ・クラッパー

ブラウンが治療を受けたバンダービルト大学医療センターには、今年7月初めには感染した妊婦は1人も入院していなかったが、今では週に4、5人が運び込まれる。産科医のジェニファー・トンプソンによると、患者は例外なくワクチン未接種者だ。これまでのピーク時には、コロナ感染でこの病院に入院した妊婦のうち、ICUでの治療が必要になる人は11%程度だったが、今では20%に上っている。

妊婦がコロナに感染し、重症化して臓器の機能が低下した場合、最後の手段として胎児を救うために陣痛促進剤を投与するか帝王切開を行うこともあると、ミズーリ州セントルイスのワシントン大学医療センターの産科医、ジェニー・ケリーは言う。

この病院では過去1週間に出産のために入院した妊婦の約20%が新型コロナのPCR検査で陽性だった。これは、昨年に州内で感染拡大がピークに達したときの2倍を上回る高確率だ。しかも、およそ3人に1人が重症化するという。

CDCのデータによると、アメリカでは妊娠中に新型コロナに感染した女性は累計約10万5000人で、うち1万8000人近くが入院し、その約4人に1人がICUに入り、124人が亡くなっている。

妊娠に伴う体の変化が、妊婦の重症化率の高さと関係しているようだ。妊娠中は心肺機能に負担がかかる上、胎児を守るために、異物を攻撃する母体の免疫機能も抑えられる。

自分と赤ちゃんを守るには、「1にも2にもワクチン接種。今はそれしかない」と、オクスナー医療センターのマーティンは妊婦に呼びかけている。

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