「画期的」ワクチン発表のファイザーが、トランプ資金を受け取らなかった理由

2020年11月10日(火)14時50分
エミリー・チャコール

ファイザーは9日、ドイツの製薬会社ビオンテックと共同で開発しているワクチンの臨床試験について、暫定的な結果を発表。数万人が参加した最終段階の臨床試験で、新型コロナウイルスの予防に「90%以上の有効性」が確認されたと明らかにした。

ファイザーが発表した時点で、この結果について、専門家による相互評価の対象となる出版物での報告はなされておらず、科学者たちからはさらに詳しい情報の開示を求める声も上がっている。

ファイザーでは、さらなるデータを収集した上で、11月の第3週にも米食品医薬品局(FDA)に対して緊急使用の許可を申請する計画だ。

トランプ大統領とマイク・ペンス副大統領は、この発表を歓迎。ペンスはツイッターに「トランプ大統領が築いた官民のパートナーシップ」が功を奏したとのメッセージを投稿した。

しかしファイザーのワクチン開発責任者であるキャスリン・ジャンセンはニューヨーク・タイムズ紙へのコメントの中で、トランプ政権のワープ・スピード作戦とは距離を置く姿勢を示した。

「我々はワープ・スピード作戦の一部ではない」と彼女は同紙に語った。「当社はこれまで、米政府からもほかの誰からも、資金提供を受けてはいない」

ファイザーはその後に発表した声明の中で、ジェンセンの発言は、「研究開発のための投資は全額、ファイザーがリスクを冒して負担した」事実を「強調した」ものだと説明した。

<追記>新型コロナウイルスの早期の開発は、感染予防より経済を優先するトランプ政権の目玉政策だった。大統領選挙前にはトランプは、ワクチンは大統領選挙前か直後にもできると繰り返し、選挙目当てと批判されていた。

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