フィリピン大統領「私も同性愛者だったが『治した』」

2019年6月3日(月)17時00分
シェーン・クロウチャー

「神のことを信じていないなどと言ったことは一度もない。お前たちの信じる神はバカで、私の神のほうがよっぽど常識的だと言っただけだ。同じことを司教たちにも言ってやった」とドゥテルテは1月、述べている。

「私は自分のことを無神論者などとは言っていない、そう、大統領職は神から与えられし天職だ。もし私がろくでなしなら、神は私にこの地位を与えていないだろう。神なしにはここまでやってこられなかったはずだ。だがあの司教たちは殺してもいい。連中は役立たずのバカだ。批判しかできない」

国際人権団体アムネスティ・インターナショナルのレイチェル・チョアハワードは本誌に対し、ドゥテルテの同性愛に関する今回の発言は「またも自分のことを強く批判する人々をおとしめて、政権に対し繰り返し提起されている問題から人々の目をそらそうしているに過ぎない」と指摘した。「例えば進行中のいわゆる『麻薬戦争』における人権侵害、それに「フィリピンにおけるもっと広汎な人権状況の悪化といった問題だ」

チョアハードはこうも述べた。「他人の名誉を傷つけるような発言に頼るのではなく、大統領は今こそ政権による犯罪を率直に認めて終わらせるべきだ」

(翻訳:村井裕美)


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