トルコ経済危機と難民危機の危うい相関関係

2018年8月24日(金)16時10分
クリスティナ・マザ

人道支援で外貨を得る

もっとも、トルコの難民政策に何らかの変化が生じた場合、その影響をまともに受けるのはドイツではなくギリシャだと、専門家は指摘する。

「(難民がトルコからギリシャ、マケドニア、セルビアを経由して、ドイツなどEU諸国を目指す)バルカンルートは、現在は封鎖された状態だ。しかし、トルコがその門を開ければ、難民にギリシャへ行けと言うようなものだろう。難民を乗せたボートがトルコの海岸を離れたら、あとはギリシャの問題だ」と、アリジラは言う。

エルドアンは、EUが約束を果たしていないとして、難民合意の破棄を繰り返しちらつかせてきた。

しかし、経済危機に見舞われた今、トルコは合意を維持して難民の受け入れを続けるだろうという見方もある。EUからの人道支援は、リラが暴落したトルコにとって、何よりもありがたい外貨で支払われる。

「トルコの経済危機が続き、政府が公的資金の大幅な削減を迫られたら、難民プログラムも影響は免れなくなるだろう」と、アメリカのシンクタンク大西洋協議会のロス・ウィルソンは分析する。「ただし、短期的に甚大な影響が生じることはなさそうだ」

本誌2018年8月28日号[最新号]掲載

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