10兆円規模の資本金を2年で使い果たしたソフトバンク巨額ファンドの成績は

2019年11月6日(水)11時51分

ソフトバンクグループの1000億ドル規模の「ビジョン・ファンド」は、自動運転や医療、金融といったさまざまな分野で、不採算のスタートアップ企業に投資し、わずか2年余りで資本の大部分を使い尽くした。

経営難に陥った共有オフィス「ウィーワーク」運営会社の米ウィーカンパニーへの100億ドルの支援や、米配車大手ウーバー・テクノロジーズなど他の投資先の株価急落は、孫正義社長の2つ目の巨大ファンド設立に向けた取り組みに影を落としている。

ビジョン・ファンドの投資先とパフォーマンスの概要は以下のとおり。

主要な投資先と投資額

*ウィーカンパニーに130億ドル超(ソフトバンクGと共同で)

*中国配車サービス大手の滴滴出行に118億ドル

*ウーバーに77億ドル

*東南アジアの配車サービス大手・グラブに30億ドル

*韓国の電子商取引企業・クーパンに30億ドル

(注釈:投資額は企業の当局への提出文書やロイター報道から)

ビジョン・ファンドの規模

*6月末時点で、同ファンドは83社に714億ドルを投資。投資収益は202億ドルで、6月末に投資家へ64億ドルを分配。

*ソフトバンクは同ファンドに205億ドルを拠出。同社の未実現投資収益は253億ドル、未分配マネジャーパフォーマンス手数料は32億ドル、実現収益は16億ドル。

大半は紙の上の利益

ビジョンファンドの202億ドルの投資収益は大半が「紙の上」の利益で、上場した出資先5社のうち4社の株価が7─9月期に急落したことから、評価額への下押し圧力は増している。

5社はウーバー、ビジネス対話アプリの米スラック・テクノロジーズ、がん検査キット製造の米ガーダントヘルス、中国ネット専業保険の衆安在線財産保険、中国のオンライン医療サービス会社、平安健康医療科技。

一方、インドのネット通販大手・フリップカートと米半導体大手・エヌビディアの株式売却で実現した利益が特に大きかった。

ソフトバンクGの株価は同期に下落した。

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