コロナ不況下の日本に、最悪のスタグフレーションが迫る構図を読み解く

2020年4月21日(火)12時12分
加谷珪一

ウイルスが終息した後も、近い将来、再び似たような感染拡大が発生すると予想する専門家は多く、企業側はグローバルな物流網や生産体制の見直しを進める可能性が高い。そうなると、従来のように世界各国から最安値で商品を大量に調達することが難しくなるので、最終的には輸入価格の上昇につながる。

国内の労働市場についても同じだ。これまでは世帯年収の低下を補うため、主婦や高齢者が安い賃金で労働市場に参加しており、平均賃金を引き下げていた。だが、日本の就業率はここ数年で大幅に上昇し、先進国の中でもかなり高い水準となった。今の日本は、働ける人はほぼ全員、働きに出た状態であり、労働者の増加による賃金低下はこれ以上進まない可能性が高い。

しかも、失業率とインフレの関係を示すフィリップス曲線を見ると、現時点における日本の失業率(2.4%)は、ちょうどインフレが顕著となるしきい値に位置しており、経験則上は物価高騰目前である。日本経済には、輸入価格の高騰、人手不足、物流コスト増大など、多くのインフレ要因が存在している。コロナショックで一時的にはデフレとなり、失業率も上がるかもしれないが、物価上昇などあり得ないといった思い込みは危険である。

<本誌2020年4月21日号掲載>

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