日本の高齢者のITスキルが、世界の中でも著しく低い理由

2020年1月22日(水)12時31分
加谷珪一

日本は諸外国と比較して、社会人になってから再教育を受ける機会が極めて少ない。年功序列の人事制度を採用している企業も多く、一定の年齢を超えると、能力にかかわらず全員が管理職的な仕事に従事し、現場から離れてしまう。このため、実務から離れた中高年のITスキルは下がる一方となる。

義務教育課程も同じである。日本の小中学校におけるIT活用度は先進各国の中では最低水準であることはよく知られているが、子供がITツールに触れる機会が少なければ、問題解決能力が下がるのも当然だろう。

こうした状況が続くと近い将来、大きな問題が発生する可能性が高い。現在、働き盛りの20代から40代の社員は何とかITを使いこなせているが、10年後、20年後には全く新しいITツールが登場しているだろう。もし、新しい技術に関する体系的な再教育が実施されなければ、多くの社員がこれを使いこなせず、今の中高年と同じ状況に陥ることは十分に考えられる。

管理職に適した人のみを管理職に登用し、それ以外の人については常に再教育を施す仕組みを構築しなければ、日本は次のIT革命でも乗り遅れてしまうかもしれない。

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