陰謀論信じる反マスク派がソーシャル・ディスタンス主張、別の陰謀論が流された?

2021年5月21日(金)15時50分
八田真行

陰謀論者を正面から説得するのが極めて難しいことはよく知られているが、ある意味今回の事例は、それをやってのけた。

いわゆる「カモリスト」の存在やカルトホッピング(あるカルトを脱会した人は別のカルトに入信しやすい)などが示唆するように、陰謀論にはまった人は、世界観に似たところがある別の陰謀論にはまる可能性が非常に高い。ゆえに、目には目を、陰謀論には陰謀論を、というのは、ある意味で合理的な戦略とも言える。

結局のところ、「大衆操作」?

しかし、いわゆるナッジ(人々が自分自身にとってより良い選択を自発的に取れるように手助けする政策手法)を巡る議論でもよく出てくるように、これは結局のところ(それこそ陰謀論者が声高に批判するところの)「大衆操作」ではないか、という批判もありうる。

そもそも陰謀論者は陰謀論者のままで、相変わらず陰謀論に脆弱なままなのである。

また、ナッジが正当性を持つためには透明性の確保が重要だが、透明性の確保はおそらく陰謀論の陰謀論としての説得力を損ねることになろう。そもそも陰謀論同士の競争というのもありうるのである。前掲のVICEの記事によれば、「排出にマスクは効かない、やはりこれからは松葉で作ったお茶」という陰謀論がすでに登場しているそうだ。

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