インドネシア軍・警察の処女検査、 人権団体が廃止要求

2017年11月24日(金)12時40分
大塚智彦(PanAsiaNews)

高卒、大卒の採用があるが未婚で性交未経験の採用基準は同じ。このため処女検査で処女膜が確認できない場合は「未婚の性交経験者」として不採用になるという。

病気や怪我あるいは激しい運動などで処女膜が破損するケースが医学的にはありうるとされているが、そうした例外は基本的に認めらないのが現状といわれている。

精神的苦痛、トラウマ、痛み

インドネシアのマスコミも思い出したように何年かに一度この問題を取り上げては検査を受けた女性のインタビューなどを掲載して世論を喚起しようとしている。

そうした記事では処女検査に関して「トラウマになった」「そういう検査があることを聞き、恐怖だった」「とても痛かった」などという被検者の声が繰り返し紹介されるが、世論は高まらない。

世界保健機関(WHO)は2014年に「処女検査に科学的根拠はない」との見解を明らかにしており、HRWをはじめとするNGOや各種団体も「処女検査は女性の人権、人格、尊厳を著しく侵害する行為である」と糾弾する。

HRWではインドネシアが現在も続けている処女検査について「指を挿入するという女性にとって屈辱的な行為」と厳しく批判。その上でインドネシアのジョコ・ウィドド大統領、ティト・カルナフィアン国家警察長官、ガトット・ヌルマンティヨ国軍司令官に対して直ちに中止するよう声明で求めている。

[執筆者]
大塚智彦(ジャーナリスト)
PanAsiaNews所属 1957年東京生まれ。国学院大学文学部史学科卒、米ジョージワシントン大学大学院宗教学科中退。1984年毎日新聞社入社、長野支局、東京外信部防衛庁担当などを経てジャカルタ支局長。2000年産経新聞社入社、シンガポール支局長、社会部防衛省担当などを歴任。2014年からPan Asia News所属のフリーランス記者として東南アジアをフィールドに取材活動を続ける。著書に「アジアの中の自衛隊」(東洋経済新報社)、「民主国家への道、ジャカルタ報道2000日」(小学館)など

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