最新記事
東欧

ロシアへの挑発となっても、ポーランドがトランプに核兵器配備を要請した理由

Poland Asks Donald Trump for Nuclear Weapons

2025年3月14日(金)21時20分
シェーン・クロウチャー、ブレンダン・コール
ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領

ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領(2023年4月、ワルシャワ) Verconer-Shutterstock

<核兵器の東方拡大は地域の平和を実現するのか>

ポーランドのアンジェイ・ドゥダ大統領は、アメリカに対し自国への核兵器配備を強く要請した。この提案をロシアが「挑発行為」と受け取る可能性は高いだろう。

【動画】ドゥダによるNATO各国への防衛費増強の呼び掛け

この提案は、ウクライナへの全面侵攻以降、ロシアが度々ちらつかせている核の脅威と、ウクライナ戦争で停戦が実現した場合に、ロシアが勢力を回復させる可能性への北大西洋条約機構(NATO)の懸念を示しているといえる。

ドゥダはフィナンシャル・タイムズの取材に対し、「(ポーランドのNATO加盟に伴い)NATOの東端は1999年にポーランド東部へと移動した。そこから26年経った今、NATOのインフラも東へ移動すべきだ。これらの武器がすでにここにあったなら、もっと安全だっただろう」と核兵器配備の重要性を強調。「ポーランドに核兵器を配備する時が来た」と述べ、現在西欧に保管されているアメリカの核弾頭について「ドナルド・トランプ米大統領が再配備できるのは明白だ」と語った。

そして、アメリカの核兵器をどこに配備するかはトランプ次第であるとしつつも、2023年にプーチン大統領がベラルーシへ戦術核兵器を配備すると発表したことを引き合いに出し、「ロシアは自国の核兵器をベラルーシに移動させる際、誰にも許可を求めなかった」と語った。

また、ドゥダは、2022年にバイデン政権に提案し却下された核共有計画の復活を望んでいる。

本誌が本件につき米国務省にコメントを求めたところ、「アメリカは同盟国の防衛に対するコミットメントを揺るぎなく維持しており、核抑止力の維持・強化のために同盟国・パートナーと緊密に協議を続けている」との回答を得た。

SDGs
使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが「竹建築」の可能性に挑む理由
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

英住宅ローン融資、3月は4年ぶり大幅増 優遇税制の

ビジネス

LSEG、第1四半期収益は予想上回る 市場部門が好

ワールド

鉱物資源協定、ウクライナは米支援に国富削るとメドベ

ワールド

米、中国に関税交渉を打診 国営メディア報道
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ポンペイ遺跡で見つかった「浴場」には、テルマエ・…
  • 5
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 6
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 7
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 8
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 9
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 10
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 7
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 8
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 9
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 10
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 10
    自らの醜悪さを晒すだけ...ジブリ風AIイラストに「大…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中