最新記事
米大統領選

バイデンは「崩壊したかも」...討論会後、世界各国で「トランプ勝利」に備える動きが一気に加速

2024年6月29日(土)11時55分
米大統領選の討論会でトランプが優位に

11月の米大統領選に向け27日開かれたテレビ討論会で民主党の現職バイデン大統領が苦戦したことを受け、米国の同盟国の一角では、共和党のトランプ前大統領の返り咲きに備える動きが強まっている。2021年4月撮影(2024年 ロイター/Kenzo Tribouillard/Pool via REUTERS/File Photo)

11月の米大統領選に向け27日開かれたテレビ討論会で民主党の現職バイデン大統領が苦戦したことを受け、米国の同盟国の一角では、共和党のトランプ前大統領の返り咲きに備える動きが強まっている。

討論会では、バイデン大統領は序盤から時折声がかすれ、言葉に詰まる場面もあった。バイデン氏が討論会で「高齢懸念」を払拭するという期待も高まっていたが、同氏の精彩を欠く姿を受けて民主党内でも動揺が広がり、一部の民主党員からは、候補者の交代という異例の措置が必要かもしれないとの見方も出ている。


海外の新聞各紙の紙面も、バイデン氏に対する非難が目立った。仏紙ルモンドはバイデン氏を「難破船」と呼び、英大衆紙デイリー・ミラーは「失言だらけの悪夢」と評した。独紙ビルト紙は「おやすみ、ジョー!」としたほか、豪紙シドニー・モーニング・ヘラルドは「トランプ氏はバイデン氏を怪物にした。民主党はジョーでは勝てない」と報じた。

イタリアのレンツィ元首相はXへの投稿で、バイデン大統領が米国に名誉ある貢献を行ったとした上で「彼に不名誉な結末はふさわしくない。馬を変えるのは皆の義務だ」と述べた。

キヤノングローバル戦略研究所・研究主幹の宮家邦彦氏は、トランプ氏は勝たなかったが、バイデン氏は「崩壊したかもしれない」と指摘。同時に「8年前と違い、他の欧州やアジアの同盟国と同様、われわれにははるかに準備が整っている。それでもトランプ氏は予測不可能だ」という見方を示した。

韓国・峨山政策研究所の研究員ピーター・リー氏は、トランプ氏が再選されれば、同盟国に対し「非常に強硬」な姿勢で防衛費増額を迫ることが予想されると述べた。

トランプ氏が中国輸入品に対し60%を超える関税を課すことを計画していることについて、韓国メリッツ証券のチーフエコノミスト、スティーブン・リー氏は、トランプ氏が「米国例外主義の概念に基づき、中国だけを標的にせず、他の国々にも関税を課す可能性がある」という見方を示した。

ロシアのウクライナ侵攻が続く中、欧州にとっては、トランプ氏の北大西洋条約機構(NATO)に対する懐疑的な見方が不安をあおる。

ベルギーのフェルホフスタット元首相はXにバイデン、トランプ両氏の写真を投稿し、「米民主主義は老人政治によって死滅した」と述べた。

ショルツ独首相は以前、バイデン氏再選の見通しを歓迎していた。しかし、連立政権を構成する自由民主党(FDP)の議員の1人は独紙に対し「米民主党がトランプ氏に対抗する強力な候補を立てることができず、トランプ氏のような人物が再び大統領になる可能性があるという事実は、全世界が感じる歴史的な悲劇となるだろう」とし、米民主党に候補者の交代を促した。ショルツ首相の報道官は討論会についてコメントを控えた。

ロシア大統領府(クレムリン)は米国の内政問題とし、コメントを避けた。プーチン大統領はこれまでに、誰が米大統領に就任してもロシアにはさほど重要でないと述べている。

7月4日に総選挙を控える英国では、世論調査で支持率トップに立つ野党・労働党のキア・スターマー党首が、米英関係は強固で「個人を超える」と述べた。

豪シドニーでは「トランプ2.0」と題されたワークショップが開かれ、政府関係者や専門家らが出席した。シドニー大学・米国研究センターのピーター・ディーン教授は、TV討論会が「バイデン氏にとって大惨事だったというのが圧倒的な印象だ」とし、 「討論会後、雰囲気は一変し、トランプ2.0に備えていなかったのなら、今こそそれが賢い動きという見方が強まった」と述べた。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2024トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

ニューズウィーク日本版 「外国人問題」徹底研究
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2026年1月27号(1月20日発売)は「『外国人問題』徹底研究」特集。「外国人問題」は事実か錯覚か。移民/不動産/留学生/観光客/参政権/社会保障/治安――7つの争点を国際比較で大激論

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

イラン、インターネット遮断解除検討か 国営TVハッ

ワールド

米の脅迫に屈さず、仏独財務相 反威圧措置も選択肢に

ワールド

トランプ大統領「平和だけ考える義務ない」、ノーベル

ワールド

高市首相23日解散表明、投開票2月8日 与党過半数
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
特集:総力特集 ベネズエラ攻撃
2026年1月20日号(1/14発売)

深夜の精密攻撃でマドゥロ大統領拘束に成功したトランプ米大統領の本当の狙いは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国のインフラ建設にインドが反発、ヒマラヤ奥地で国境問題が再燃
  • 2
    【銘柄】「住友金属鉱山」の株価が急上昇...銅の高騰に地政学リスク、その圧倒的な強みとは?
  • 3
    DNAが「全て」ではなかった...親の「後天的な特徴」も子に受け継がれ、体質や発症リスクに影響 群馬大グループが発表
  • 4
    AIがついに人類に「牙をむいた」...中国系組織の「サ…
  • 5
    シャーロット英王女、「カリスマ的な貫禄」を見せつ…
  • 6
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 7
    「リラックス」は体を壊す...ケガを防ぐ「しなやかな…
  • 8
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世…
  • 9
    中国ネトウヨが「盗賊」と呼んだ大英博物館に感謝し…
  • 10
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 1
    【クイズ】韓国を抜いて1位に...世界で最も「出生率が低い」のはどこ?
  • 2
    上野公園「トイレ騒動」に見る、日本のトイレが「世界一危険」な理由
  • 3
    世界初で日本独自、南鳥島沖で始まるレアアース泥試掘の重要性 日本発の希少資源採取技術は他にも
  • 4
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い…
  • 5
    正気を失った?──トランプ、エプスタイン疑惑につい…
  • 6
    韓国『日本人無料』の光と影 ── 日韓首脳が「未来志向…
  • 7
    母親が発見した「指先の謎の痣」が、1歳児の命を救っ…
  • 8
    「高額すぎる...」ポケモンとレゴのコラボ商品に広が…
  • 9
    ピラミッドよりも昔なのに...湖底で見つかった古代の…
  • 10
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 6
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 7
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 8
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 9
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 10
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中