最新記事
注目ニュースを動画で解説

台湾有事にも影響大... ドイツの元軍人に中国空軍への機密情報漏えい疑惑【注目ニュースを動画で解説】

2023年6月30日(金)15時20分
ニューズウィーク日本版ウェブ編集部
ドイツ空軍の中国スキャンダル

Newsweek Japan-YouTube

<元ドイツ空軍パイロットが10年ほど前から中国空軍の訓練に協力していたというスキャンダルと、その脅威について解説したアニメーション動画の内容を一部紹介する>

6月2日の独シュピーゲル誌に掲載された記事で、ドイツ軍の元パイロットが中国空軍に戦術や機密情報を漏らした疑惑が発覚した。このことは欧米にとってどんな脅威になり得るのか。スキャンダルの背景に何が──。

本記事では、本誌YouTubeチャンネルの動画「「戦術が筒抜け?台湾有事にも影響大 元ドイツ空軍パイロットに中国への機密情報漏えい疑惑【アニメで解説】」の内容をダイジェスト的に紹介する。

◇ ◇ ◇

シュピーゲル誌は「彼らが軍事的な専門知識や戦術上の機密情報を(中国空軍に)伝えたり、台湾侵攻などのシナリオで訓練したりしている可能性は非常に高い」というドイツ安全保障当局者のコメントを紹介した。

元パイロットたちは冷戦時代とその直後にドイツ空軍が得意とした、敵防空網の制圧(SEAD)と破壊(DEAD)のノウハウ、他にはNATOの航空作戦における戦闘機の編成や装備体系も教えた可能性がある。これらの知識は、台湾有事で中国が制空権を握ろうとするときに大いに役に立つとみられる。

nwyt0630_4.jpg

2022年10月には、元イギリス空軍パイロット(少なくとも30人)が、中国空軍に助言を与えているという報道もあった。ドイツやイギリスの元軍人が個人ベースで中国に協力できた背景には、ヨーロッパの中国に対する甘い認識がある。

「最もきなくさいのは米中対立であり、ヨーロッパは部外者」という認識が、ヨーロッパが中国の軍事的野心に無頓着である理由だ。

nwyt0630_7.jpg

アメリカの軍事立案者は分業体制を考えている。ヨーロッパはロシアに対して自己防衛し、一方のアメリカは中国の軍事侵略を阻むためにアジアに注力するという体制だ。

ヨーロッパが中国の軍事的脅威を真剣に捉えられない理由には、「ヨーロッパは台湾有事よりも、自身の防衛に尽力せよ」というアメリカのメッセージの影響も挙げられる。

nwyt0630_8.jpg

敵に手の内を明かせば、アジアに限らずどこでも戦争の抑止が困難になる。精密誘導弾、長距離防空システム、無人航空機、ISR(情報・監視・偵察)用航空機などといった高性能な兵器を、アメリカは全世界で展開できるだけの数を持ち合わせているわけではない。

ヨーロッパが中国に協力してしまうと、アメリカはより多くの軍備を中国に移さざるを得なくなるのだ。

nwyt0630_9.jpg

今年6月3日、ドイツのボリス・ピストリウス国防相は中国の李尚福(リー・シャンフー)国防相と会談し、戦闘機パイロットの訓練にドイツ空軍の元軍人を雇うのをやめるよう要請した。

nwyt0630_10.jpg

今こそヨーロッパは甘い認識を捨てなければならない。口頭での要請だけでなく、国民と企業が人民解放軍を支援することを全面的に禁止する法律を制定すべきだ。

中国のアジアにおける軍事侵略は、直接的にも間接的にもヨーロッパの安全保障に悲惨な結果をもたらすことになるのだから。

nwyt0630_11.jpg

■詳しくは動画をご覧ください。

メンバーシップ無料
ニューズウィーク日本版メンバーシップ登録
あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

サウジアラムコ、2油田で減産 ホルムズ海峡封鎖を受

ワールド

原油先物22年半ば以来の高値、北海ブレント過去最大

ビジネス

米国株式市場・序盤=ダウ700ドル安、原油高騰でイ

ビジネス

IEAが石油備蓄放出呼びかけ、G7会合 片山財務相
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:教養としてのミュージカル入門
特集:教養としてのミュージカル入門
2026年3月17日号(3/10発売)

社会と時代を鮮烈に描き出すミュージカル。意外にポリティカルなエンタメの「魔力」を学ぶ

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」を裏付けるような動画を公式に投稿してしまう
  • 2
    メーガン妃、娘リリベット王女との新ショット公開...撮影はパパ
  • 3
    ダイヤモンドのような「ふくらはぎ」を鍛える最短ルートとは?...スクワットの真実
  • 4
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 5
    40年以上ぶり...イスラエル戦闘機「F-35I」が、イラ…
  • 6
    なぜ脳は、日本的「美」に反応する? 欧米の美とは異…
  • 7
    「溶けた金属のよう...」 ヨセミテ国立公園で「激レ…
  • 8
    保険料を支払うには収入が少なすぎる...中国、進まぬ…
  • 9
    最後のプリンスが「復活」する日
  • 10
    【原油価格100ドル突破】「イランの石油が供給危機を…
  • 1
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビザの壁、会社都合の解雇、帰国後も続く苦境
  • 2
    イラン猛反撃、同士討ちまで起きる防空戦はいつまで続くのか
  • 3
    縫いぐるみが相棒、孤独なサル「パンチくん」がバズった理由
  • 4
    サファリ中の女性に悲劇...ライオンに「くわえ去られ…
  • 5
    ロシア政府、痛恨のミス...プーチンの「健康不安説」…
  • 6
    【長期戦はイラン有利】米側の体制転覆シナリオに暗…
  • 7
    少子化に悩む韓国で出生率回復...昨年過去最大の伸び…
  • 8
    核合意寸前、米国がイラン攻撃に踏み切った理由
  • 9
    「死体を運んでる...」Google Earthで表示される「不…
  • 10
    日本の保護者は自分と同じ「大卒」の教員に敬意を示…
  • 1
    ウクライナ戦闘機「F-16」がロシア軍「シャヘド」を空中爆破...地上から撮影の「レア映像」を公開
  • 2
    台湾侵攻「失敗」の大きすぎる代償
  • 3
    「最恐」恐竜T・レックスの定説を覆す新研究が
  • 4
    イースター島の先住民から資源を略奪、島を「生きた…
  • 5
    見事なカンフーを見せた中国ヒト型ロボットのからく…
  • 6
    アルコールは血糖値を下げる...「脳と血管を守る」医…
  • 7
    「ヘル・コリア」から日本へ7万人 ── 大企業の高給より…
  • 8
    中国、パナマ運河の港湾喪失でパナマに報復──トラン…
  • 9
    日本の若者「韓国就職」憧れと現実のギャップ ── ビ…
  • 10
    命は長し、働け女たち――88歳「働くばあさん」が説く…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中