最新記事
米大統領選

「アンチがいるほど勝利への意欲を燃やすタイプ」...トランプにとって次期大統領選挙は戦いやすい環境

Can Trump Still Win?

2023年4月20日(木)19時35分
ダニエル・ブッシュ(本誌ホワイトハウス担当)
トランプ

トランプは起訴されても大統領の座を目指すと公言してきた(3月25日、テキサス州) JABIN BOTSFORDーTHE WASHINGTON POST/GETTY IMAGES

<共和党予備選は制しても本選はどうなるのか。勝敗を左右する3つのファクターとは>

ドナルド・トランプ前米大統領は退任後の今も歴史をつくり続けている。彼は3月末、元ポルノ女優への口止め料の支払いに絡む34件の重罪でニューヨーク州の大陪審に起訴された。大統領経験者が刑事事件で起訴されるのは史上初めてだ。

不名誉な「史上初」記録はほかにもある。2回弾劾訴追された大統領はトランプが初めて。大統領選の一般投票で2回対抗馬より得票数が少なかった大統領も彼だけだ。

それ以上に驚くべき「偉業」は、刑事訴追されても2024年の大統領選に向けた共和党の指名争いでは引き続きトップを独走していること。

最近の世論調査では、支持率2位のフロリダ州知事ロン・デサンティスに大きく水をあけている(デサンティスは正式には表明していないが、出馬は確実とみられている)。

「現状では、トランプを倒せなければ指名争いには勝てない」と、16年の大統領選で共和党予備選に出馬した前ウィスコンシン州知事のスコット・ウォーカーは言う。

トランプが予備選に勝てば、ジョー・バイデン米大統領と再び相まみえることになり、その結果はアメリカの内政・外交に多大な影響を与えるだろう。

それ以前にトランプが共和党の指名候補になった時点でアメリカはもはやかつてのアメリカではなくなる。何しろ刑事訴追された人物が大統領候補にふさわしいと判断されたことになるのだから。

来年初めに予備選がスタートするまでまだ半年以上もある。トランプは3回連続で共和党の指名候補になる気満々だが、訴追がそのシナリオにどんな影響を与えるかは予断を許さない。

今後注目すべきは3つの重要ファクターだ。共和党の関係者や戦略家、政治アナリストらはそれらが指名争いの鍵を握るとみている。

1つはトランプが別件でも刑事訴追されるかどうか。彼は選挙妨害と機密文書の扱いなど、ほかの疑惑でも捜査を受けている。2つ目はどの候補が一番多く選挙資金を調達できるか。3つ目は来年の予備選開始までに何人の候補者が名乗りを上げるかだ。

あわせて読みたい
ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
あわせて読みたい
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 8
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 9
    4年間SNSをやめて気づいた「心を失う人」と「回復で…
  • 10
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中