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部活動指導に教師が長時間を費やすのは世界の非常識

2022年12月7日(水)11時00分
舞田敏彦(教育社会学者)

そこで、中学校の部活動を地域に移管しようという動きが出ている。最近公表されたスポーツ庁のガイドブック(案)では、「公立中学校において、学校部活動の維持が困難となる前に、学校と地域との連携・協働により、生徒のスポーツ・文化芸術活動の場として、新たに地域クラブ活動を整備する必要がある」と記載され、2023~25年度を改革集中期間とする方針が示された。今後は、学校単位だけでなく地域クラブ単位でスポーツ大会に参加することも想定される。

最も大きな課題は指導者の確保だ。上記のガイドブックでは、都道府県や市町村ごとに「専門性や資質・能力を有する指導者を確保する」とあるが、その候補となる人材はどれほどいるか。やや古いが2015年の『国勢調査』の産業小分類統計によると、教育・学習支援業(学校教育、学習塾を除く)に携わっている人は約58万人で、同年の公立中学校生徒100人につき18人ほどいる計算になる。<表1>は、この数値を都道府県別に出して高い順に並べたものだ。

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社会教育や教養・技能教授に携わる人たちだが、中学生あたりの数でみると結構いることが分かる。東京では3人に1人だ。私教育の伝統が強い日本では、教育や技能指導の人材が学校外に数多くいる。これは7年前のデータだが、最近ではもっと多くなっているだろう。退職高齢者が増えているし、民間企業ではパラレル・キャリア(副業)が推奨されるようになっている。スポーツ選手の引退後のセカンドキャリアとして考えられてもいい。

各自治体レベルでこうした人材の情報を把握し、資格を付与して教育に加勢してもらう。これが実現すれば学校は大きく変わる。絵空事と思われるかもしれないが、<図1>の左下の国々では実現されている。ためらうことなく、改革に着手することだ。

<資料:OECD「TALIS 2018」
    総務省『国勢調査』(2015年)

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