最新記事

イギリス

英保守党党首選、スナク前財務相が首位維持 トラス外相と決選投票へ

2022年7月21日(木)10時27分
イギリスのスナク前財務相

ジョンソン英首相の後任を選出する与党保守党の党首選の第5回投票が20日実施され、スナク前財務相が137票を獲得し、首位を維持した。ロンドンで撮影(2022年 ロイター/Henry Nicholls)

ジョンソン英首相の後任を選出する与党保守党の党首選の第5回投票が20日実施され、スナク前財務相が137票を獲得し、首位を維持した。

2位にはトラス外相が付け、スナク氏とトラス氏が全党員による決選投票で対決することになった。

スナク氏は初回投票から首位を維持しているが、約20万人の党員の間ではトラス氏を支持する声が優勢のもよう。

モーダント通商政策担当相は3位となり、落選した。

投票結果の発表後、トラス氏は議員らに謝意を表明し「私は勝つためにこの選挙に参加する。首相になった場合は初日から全力で取り組み、党をまとめ、党の価値観に沿った政治を行う」と述べた。

スナク氏はツイッターに「私に信頼を寄せてくれた議員に感謝する。昼夜を問わず、全国に我々のメッセージを伝えるために働くつもりだ」と投稿した。

トラス氏にわずか8票差で敗れたモーダント氏は、しばしば醜い主導権争いを繰り広げる党に団結を呼びかけ。「政治は簡単ではない。私たちは今、党を統一し、なすべき仕事に集中するために協調しなければならない」とする声明を発表した。

トラス氏が支持を伸ばした背景には、EU離脱の積極的支持に転換したことと、減税を提案したことがあるとみられる。また、ジョンソン首相辞任のきっかけとなった一連の閣僚離反の口火を切ったスナク氏では次回選挙で野党労働党に勝てないとの見方も有利に働いた。

ただ、トラス氏がロシアに対し極めて強硬な姿勢を取っていることから、二国間関係の緊張が危険な水準にまで高まると懸念する向きもある。

一方、スナク氏は、新型コロナウイルス禍で英経済のかじ取りを行った功績が幅広い評価を獲得。決選投票に向けてもその点を強調するとみられる。ただ、勝利するためには、自身が資産家であるため増税を厭わないという印象を払拭する必要がある。党内からも、資産家であることが中道左派の労働党の格好のターゲットになるとの懸念が出ている。

第5回投票の結果は以下の通り。

候補者      得票数
スナク前財務相  137
トラス外相    113
モーダント通商政策担当相 105

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2022トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

鉄鋼関税、2倍の50%に引き上げへ トランプ米大統

ビジネス

アングル:トランプ関税、世界主要企業の負担総額34

ワールド

トランプ米大統領、日鉄とUSスチールの「パートナー

ワールド

マスク氏、政府職を離れても「トランプ氏の側近」 退
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プーチンに、米共和党幹部やMAGA派にも対ロ強硬論が台頭
  • 3
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言ってがっかりした」
  • 4
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 5
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多い国はどこ?
  • 4
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 5
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 6
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 9
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中