最新記事

陰謀論

「タンポン不足はトランスジェンダーのせい」──米下院議員が得意の陰謀論を主張

Marjorie Taylor Greene Claims Tampon Shortage Fueled by Transgender People

2022年6月14日(火)17時54分
アンドリュー・スタントン

粉ミルクの次はタンポンが足りない! pepifoto-iStock.

<「マスク着用義務化はホロコーストと同じ」の迷言で知られる陰謀論者にして米下院議員のマージョリー・テイラー・グリーンがまたやらかした。彼女にとっては世界情勢や経済など事実はどうでもいいことがよくわかる>

ジョージア州選出の共和党下院議員マージョリー・テイラー・グリーンは6月13日、トランスジェンダーの人向けに男性用トイレに置かれているタンポンが、全米のタンポン不足を悪化させていると主張した。

サプライチェーンの寸断と物価上昇は、以前から多くのアメリカ製品が直面している問題だ。タンポンも例外ではない。生理用品の材料もコストが上がっているのだ。

だが、保守系メディア「ライト・サイド・ブロードキャスティング・ネットワーク(Right Side Broadcasting Network)」に登場したグリーンは、いつものトランスジェンダー批判をするなかで、タンポン不足を引き起こしているのは男性用トイレに置かれるタンポンだと主張した。

「男性はタンポンを買うな」

「いま、タンポンが不足している。それはおそらく、男性がタンポンを買っているからだ」とグリーンはトランスジェンダー・コミュニティに関する議論のなかで発言し、彼女が言うところの「女性たちに対する戦争」を非難した。

一部の企業や学校などの公共施設では、男性用トイレにタンポンが置かれ始めているものの、現在のタンポン不足の原因は、むしろインフレと製造コストの上昇にあると専門家らは指摘している。

CNNの報道によれば、タンポン製造に使われるふたつの材料、綿とプラスチックは、マスクなどの新型コロナウイルス感染症(COVID-19)防護具の需要増で価格が上昇しているという。綿の栽培に使う肥料の主要輸出国であるロシアとウクライナが戦争していることも問題だ。

インフレも、生理用品の価格を高騰させている。5月28日現在、タンポンの価格は9.8%、生理用ナプキン1袋の価格は8.3%上昇していると、ブルームバーグはニールセンIQのデータを引用して報じる。

「タンパックス(Tampax)」を製造するプロクター・アンド・ギャンブル(P&G)が6月上旬に「タイム」誌に語ったところによれば、コメディアンのエイミー・シューマーが出演する広告キャンペーンの成功もあって需要は7.7%増加し、工場はフル稼働状態だという。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

中国経済運営は積極財政維持、中央経済工作会議 国内

ビジネス

スイス中銀、ゼロ金利を維持 米関税引き下げで経済見

ビジネス

EU理事会と欧州議会、外国直接投資の審査規則で暫定

ワールド

ノーベル平和賞のマチャド氏、「ベネズエラに賞持ち帰
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
特集:ジョン・レノン暗殺の真実
2025年12月16日号(12/ 9発売)

45年前、「20世紀のアイコン」に銃弾を浴びせた男が日本人ジャーナリストに刑務所で語った動機とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア空軍の専門家。NATO軍のプロフェッショナルな対応と大違い
  • 2
    「何これ」「気持ち悪い」ソファの下で繁殖する「謎の物体」の姿にSNS震撼...驚くべき「正体」とは?
  • 3
    トランプの面目丸つぶれ...タイ・カンボジアで戦線拡大、そもそもの「停戦合意」の効果にも疑問符
  • 4
    人手不足で広がり始めた、非正規から正規雇用へのキ…
  • 5
    【クイズ】アジアで唯一...「世界の観光都市ランキン…
  • 6
    死者は900人超、被災者は数百万人...アジア各地を襲…
  • 7
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 8
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
  • 9
    「正直すぎる」「私もそうだった...」初めて牡蠣を食…
  • 10
    「安全装置は全て破壊されていた...」監視役を失った…
  • 1
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 2
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価に与える影響と、サンリオ自社株買いの狙い
  • 3
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だから日本では解決が遠い
  • 4
    健康長寿の鍵は「慢性炎症」にある...「免疫の掃除」…
  • 5
    兵士の「戦死」で大儲けする女たち...ロシア社会を揺…
  • 6
    キャサリン妃を睨む「嫉妬の目」の主はメーガン妃...…
  • 7
    中国軍機の「レーダー照射」は敵対的と、元イタリア…
  • 8
    ホテルの部屋に残っていた「嫌すぎる行為」の証拠...…
  • 9
    戦争中に青年期を過ごした世代の男性は、終戦時56%…
  • 10
    【クイズ】アルコール依存症の人の割合が「最も高い…
  • 1
    東京がニューヨークを上回り「世界最大の経済都市」に...日本からは、もう1都市圏がトップ10入り
  • 2
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後」の橋が崩落する瞬間を捉えた「衝撃映像」に広がる疑念
  • 3
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸送機「C-130」謎の墜落を捉えた「衝撃映像」が拡散
  • 4
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした…
  • 5
    「999段の階段」を落下...中国・自動車メーカーがPR…
  • 6
    まるで老人...ロシア初の「AIヒト型ロボット」がお披…
  • 7
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 8
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 9
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 10
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中