最新記事

アメリカ政治

トランプ独自SNS「トゥルース・ソーシャル」、結局は大手のアプリストア頼み

2022年2月14日(月)10時33分
アメリカ国旗の前に立つドナルド・トランプ前米大統領

サービス開始予定まで、残り数週間。ここに来てドナルド・トランプ前米大統領(写真)の新規メディア事業は、自社アプリの微妙なバランスを保つ道を探っている。1月29日、テキサス州で撮影(2022年 ロイター/Go Nakamura)

サービス開始予定まで、残り数週間。ここに来てドナルド・トランプ前米大統領の新規メディア事業は、自社アプリの微妙なバランスを保つ道を探っている。アップルとグーグルが提供するアプリストアの規定に抵触しないようにしつつ、トランプ氏の支持層に「表現の自由」を与えるという難題だ。

トランプ氏がフェイスブックやツイッター、ユーチューブから排除されて1年、同氏独自のソーシャルメディア「トゥルース(真実)・ソーシャル」が登場する。トランプ・メディア・アンド・テクノロジー・グループ(TMTG)をはじめ、言論の自由を旗印に掲げるテクノロジー企業は、保守派曰く「自由な表現を抑圧してきた」シリコンバレーの門番たちに匹敵するほど規模を拡大できるのか、このアプリが重要な試金石になる。

TMTGは「トゥルース・ソーシャル」を通じて「魅力的で、検閲とは無縁の体験」を提供することを約束。ワクチン接種や2020年の大統領選挙の結果など、今日の米国におけるホットな争点に対する自分たちの意見が、主流のソーシャルメディアから排除されていると感じる層にアピールしようとしている。

とはいえ、トランプ陣営のテクノロジー担当チームは「トゥルース・ソーシャル」がアップルやアルファベット傘下のグーグルが運営するアプリストアから排除されないよう、予防線を張っておく必要がある。トランプ氏の支持者が多く利用していたが、2021年1月6日の連邦議会議事堂襲撃事件の後にアプリストアから削除された米新興SNS(交流サイト)「パーラー」の前例もある。こういったストアがなければ、大半のスマホユーザーが簡単に同アプリをダウンロードできなくなってしまう。

事情に通じた2人の人物によれば、こうした「プラットフォームからの排除」リスクは、かつて連邦下院議員(共和党)を務めたこともあるTMTGのデビン・ヌネス最高経営責任者(CEO)にとって、アプリ開発における最重要課題だという。「トゥルース・ソーシャル」が公開初日からハッカーの標的になるという認識に基づき、ヌネス氏は「国家レベル」のサイバー関連人材を欲しがっている、と1人は言う。ヌネス氏は、TMTGとしては3月末までに「トゥルース・ソーシャル」を立ち上げることが目標だと公言している。

TMTGの広報担当者にコメントを求めたが、回答は得られなかった。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

鉄鋼関税、2倍の50%に引き上げへ トランプ米大統

ビジネス

アングル:トランプ関税、世界主要企業の負担総額34

ワールド

トランプ米大統領、日鉄とUSスチールの「パートナー

ワールド

マスク氏、政府職を離れても「トランプ氏の側近」 退
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プーチンに、米共和党幹部やMAGA派にも対ロ強硬論が台頭
  • 3
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言ってがっかりした」
  • 4
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 5
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多い国はどこ?
  • 4
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 5
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 6
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 9
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中