最新記事

YouTube

親に利用され、ネットでは批判の的になる「未成年YouTuber」たち

When Parents Overshare

2021年11月5日(金)18時07分
ダニヤ・ハジャジ

211109P56_SLD_04.jpg

子供ユーチューバーのライアン・カジと両親 BROOKS KRAFT LLCーCORBIS/GETTY IMAGES

法的保護はまだ不十分

「極端な形」のシェアレンティングは子供にダメージを与える可能性があると、セントラル・ミシガン大学ファミリー・ヘルス・ラボの主任研究員セーラ・ドモフは指摘する。人前で恥をかかせるなど「恥ずかしい経験を繰り返す」と、否定的な自己認識や低い自己評価につながりやすいという。

過去にはYouTubeの「おすすめ」機能を悪用して子供の動画を探し、コメント欄に淫らな書き込みをしたり、児童ポルノのリンクを共有したりする小児性愛者グループもいた。「ネット被害の経験は子供の自殺願望や鬱状態と関連があることが分かっている」と、ドモフは言う。

アメリカの個人情報保護法では、一般に親が未成年の子供の個人情報を管理するとされている。だがフロリダ大学のステイシー・スタインバーグ教授(法学)によると、親自身が子供の個人情報をオンラインで公開する場合には、利益相反が発生する。「親はゲートキーパー(情報を保護する者)であると同時にゲートオープナー(情報を公開することで利益を得る可能性のある者)でもある」

子供のデジタルプライバシーに関する連邦法は既にある。1998年制定の児童オンライン・プライバシー保護法(COPPA)は、子供向けサイトが親の同意なしに13歳未満の子供から情報収集することを禁じ、第三者による侵害から子供のプライバシーを守ることを親に課している。

YouTubeは20年1月、ターゲット広告や子供の興味を引く可能性のある動画へのコメントを無効にするなど、COPPAに準拠した対策を導入した。しかし、この新方針に一部のユーチューバーは反発した。コンテンツから得られる収入が減り、家族向け動画のクリエーターの意欲を失わせると、彼らは言う。

アメリカにはまだ、親が営利目的で作成したソーシャルメディア上のコンテンツに登場する子供を対象とする包括的な法律上の保護規定はない。例えばカリフォルニア州の「オンライン消しゴム法」は、未成年者がウェブサイトやオンラインサービスの運営者に自身のコンテンツ削除を要求することを認めているが、自分の親が投稿したコンテンツにも適用されるかどうかはまだ判然としない。

子供の出演者を経済的搾取から保護する法律はある。最も有名なのは、カリフォルニア州が1939年に制定したクーガン法だ。

チャーリー・チャプリンの映画『キッド』に出演した子役のジャッキー・クーガンが自分の収入を使い込んだ母親と義父を訴えたことが契機となって成立した同法は、子役の収入の15%を成人後に利用可能となる信託口座に預けることを義務付けている。ただし、今のところソーシャルメディアで収入を得ている子供は対象外だ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

米政府機関の一部が閉鎖、短期間の公算 予算案の下院

ビジネス

中国1月製造業PMIが50割れ、非製造業は22年1

ワールド

トランプ氏、労働統計局長にベテランエコノミスト指名

ワールド

焦点:トランプ政権、気候変動の「人為的要因」削除 
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:高市 vs 中国
特集:高市 vs 中国
2026年2月 3日号(1/27発売)

台湾発言に手を緩めない習近平と静観のトランプ。激動の東アジアを生き抜く日本の戦略とは

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「副産物」で建設業界のあの問題を解決
  • 2
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵士供給に悩むロシアが行う「外道行為」の実態
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    日本はすでに世界第4位の移民受け入れ国...実は開放…
  • 5
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパ…
  • 6
    麻薬中毒が「アメリカ文化」...グリーンランド人が投…
  • 7
    日本経済を中国市場から切り離すべきなのか
  • 8
    秋田県は生徒の学力が全国トップクラスなのに、1キロ…
  • 9
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 10
    「外国人価格」で日本社会が失うもの──インバウンド…
  • 1
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 2
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」と「フリース」に移った日
  • 3
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界でも過去最大規模
  • 4
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 5
    180万トンの「リチウムごみ」を資源に...EV電池の「…
  • 6
    一人っ子政策後も止まらない人口減少...中国少子化は…
  • 7
    スペースXの宇宙飛行士の帰還が健康問題で前倒しに..…
  • 8
    ロシア軍の前線で「弾よけ」にされるアフリカ人...兵…
  • 9
    町長を「バズーカで攻撃」フィリピンで暗殺未遂、大…
  • 10
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 1
    【クイズ】世界で最も「レアアースの埋蔵量」が多い国はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】致死率50~75%...インドで感染拡大「ニパウイルス」の感染源となる動物は?
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    セーターが消えた冬 ── 暖かさの主戦場が「インナー」…
  • 5
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【202…
  • 6
    海上自衛隊が水中無人機(UUV)を導入 中国の海軍拡…
  • 7
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」は…
  • 8
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 9
    防衛省が「新SSM」の映像を公開、ノルウェー・コング…
  • 10
    中国で大規模な金鉱脈の発見が相次ぐ...埋蔵量は世界…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中