最新記事

環境

31日から温暖化対策のCOP26開催 紛糾必至の争点まとめ

2021年10月25日(月)10時36分
ドイツ、コロンの石炭火力発電所

10月31日から11月12日にかけて、200近い国の代表がスコットランドのグラスゴーに集う。国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)のためだ。写真は独コロンの石炭火力発電所。2019年3月撮影(2021年 ロイター/Wolfgang Rattay)

10月31日から11月12日にかけて、200近い国の代表がスコットランドのグラスゴーに集う。国連気候変動枠組み条約第26回締約国会議(COP26)のためだ。目的は、2015年に採択されたパリ協定に基づく地球温暖化への対策を強化することだ。

世界各地で異常気象が起きる中、気候変動に関する国連の報告書が「地球温暖化が手に負えない状況に近づきつつある」と警告していることを受け、今回の会議で各国政府が示す動きが対策の成否を左右することになる。

解決すべきいくつかの問題点を整理してみよう。

排出削減目標

6年前のパリにおけるCOP21では、地球温暖化による気温上昇を最大でも摂氏2度、理想的には1.5度に抑えるため、各国は温室効果ガスの排出量削減に合意した。この目標を達成するには、排出量を2030年までに半減、今世紀半ばにはネット(実質)ゼロにする必要がある。

昨年はコロナ禍により国連の会議が延期されたため、各国がさらに厳しい排出削減目標(国別削減目標、NDC)を公約する期限は今年とされている。

7月末までに提出された新規、もしくは改訂後のNDCについて国連が分析したところ、提出済みの113カ国の合計では、2030年までに排出量を2010年の水準から12%削減することになっている。

だが、191のパリ協定締約国・地域すべてについて入手可能なNDCを見ると、2010年との比較で、2030年の温室効果ガスの排出量は16%増になると国連は指摘している。

これまで約120カ国が改訂後のNDCを提出しているが、目標達成に向けた共通のスケジュールは存在せず、一貫性に欠けている。また、NDCにおけるアプローチにはばらつきがあるため相互比較は難しい。

各国の交渉代表は、さらに今後の排出削減に向けた共通スケジュールについても合意する必要がある。

主要な排出国である中国、インド、サウジアラビア、トルコは、4カ国合計で世界の温室効果ガス排出量の約3分の1を占めているが、より厳しい目標を盛り込んだNDCをまだ提出しておらず、COP26での提出が求められている。

開発途上国への財政支援

すでに2009年の時点で、先進諸国は気候変動に伴う影響への開発途上国の対応を支援するため、2020年まで年間1000億ドルを拠出するとの合意に達していた。

だが、経済協力開発機構(OECD)による最新のデータでは、先進諸国の政府が気候変動に対して脆弱な諸国のために拠出した金額は、2019年には796億ドルであり、2018年の783億ドルに対して2%増にとどまっている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

石破首相「双方の利益になるよう最大限努力」、G7で

ワールド

米中貿易枠組み合意、軍事用レアアース問題が未解決=

ワールド

独仏英、イランに核開発巡る協議を提案 中東の緊張緩

ワールド

イスラエルとイランの応酬続く、トランプ氏「紛争終結
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:非婚化する世界
特集:非婚化する世界
2025年6月17日号(6/10発売)

非婚化・少子化の波がアメリカもヨーロッパも襲う。世界の経済や社会福祉、医療はどうなる?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「タンパク質」より「食物繊維」がなぜ重要なのか?...「がん」「栄養」との関係性を管理栄養士が語る
  • 2
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高にかっこいい」とネット絶賛 どんなヘアスタイルに?
  • 3
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波でパニック...中国の輸出規制が直撃する「グローバル自動車産業」
  • 4
    サイコパスの顔ほど「魅力的に見える」?...騙されず…
  • 5
    林原めぐみのブログが「排外主義」と言われてしまう…
  • 6
    メーガン妃とキャサリン妃は「2人で泣き崩れていた」…
  • 7
    若者に大不評の「あの絵文字」...30代以上にはお馴染…
  • 8
    ハルキウに「ドローン」「ミサイル」「爆弾」の一斉…
  • 9
    さらばグレタよ...ガザ支援船の活動家、ガザに辿り着…
  • 10
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 1
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の瞬間...「信じられない行動」にネット驚愕
  • 2
    大阪万博は特に外国人の評判が最悪...「デジタル化未満」の残念ジャパンの見本市だ
  • 3
    「セレブのショーはもう終わり」...環境活動家グレタらが乗ったガザ支援船をイスラエルが拿捕
  • 4
    「サイドミラー1つ作れない」レアアース危機・第3波で…
  • 5
    ブラッド・ピット新髪型を「かわいい」「史上最高に…
  • 6
    ファスティングをすると、なぜ空腹を感じなくなるの…
  • 7
    今こそ「古典的な」ディズニープリンセスに戻るべき…
  • 8
    アメリカは革命前夜の臨界状態、余剰になった高学歴…
  • 9
    右肩の痛みが告げた「ステージ4」からの生還...「生…
  • 10
    脳も体も若返る! 医師が教える「老後を元気に生きる…
  • 1
    日本の「プラごみ」で揚げる豆腐が、重大な健康被害と環境汚染を引き起こしている
  • 2
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 3
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 4
    一瞬にして村全体が消えた...スイスのビルヒ氷河崩壊…
  • 5
    庭にクマ出没、固唾を呑んで見守る家主、そして次の…
  • 6
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 7
    「ママ...!」2カ月ぶりの再会に駆け寄る13歳ラブラ…
  • 8
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 9
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中