最新記事

宇宙旅行

前澤友作氏も仲間入り...7人の大富豪たちはなぜ宇宙を目指したのか

Billionaires in Space

2021年7月1日(木)18時07分
ディーリア・マリネスク
有人月面着陸船「ブルームーン」の発表をするアマゾン創業者のジェフ・ベゾス

「5歳の時から夢見てきた」という宇宙旅行を、ベゾスはついに実現させる Clodagh KilcoyneーREUTERS

<費用はどんどん安くなるという予想は外れたが、民間の宇宙「旅行」に大富豪が続々と参戦>

アポロ11号で人類が初めて月面に降り立ったのは1969年の7月20日だった。以来52年。その記念すべき日に、今年はアマゾンの創業者ジェフ・ベゾスが宇宙空間へ旅立つ(最悪の事態に備えて、その前にアマゾンのCEOから退く予定だという)。

ベゾスは他人の手は借りない。自ら起業した宇宙開発会社ブルーオリジンのロケットを使い、その先端に取り付けたカプセルに乗り込む。同乗者は弟マークと、唯一の乗客枠を2800万ドル(約31億円)で落札した幸運な人物だ。

出発から帰還までの時間は約11分。ロケットは地上約100キロを超えて宇宙空間に達するとカプセルを切り離す。その後の数分間、ベゾスらは本物の無重力状態を体験できる。それが済んだら地球の重力に導かれ、パラシュートを開いて地上へ戻る。

2800万ドルは高い。起業家&冒険家のリチャード・ブランソンが立ち上げたヴァージン・ギャラクティック社は何年も前に、同様の宇宙体験ツアーを25万ドルで売り出している。初飛行はまだだが、既に650枚以上のチケットが売れたという。

ただし現在は受け付けを中止しており、再開後は値上げする予定だ。安全対策などで、想定以上の投資がかさんでいるらしい。10年前には「あと5年もすれば10万ドルで宇宙へ行ける」という予想もあったのだが、現実は厳しかったということだろう。

ロシア発、宇宙行き

それでも、大金持ちは金に糸目をつけずに宇宙へ行きたがる。数えてみると、ベゾス以前に7人いる。

まだ民間の宇宙旅行会社はなかったから、金持ちたちはロシアに頼った。金欠のロシアが、その宇宙船ソユーズを国際宇宙ステーションISSまで飛ばすときに「乗客」を受け入れていたからだ。

最初に自腹を切って、このサービスを利用したのはアメリカの実業家デニス・ティトだ。それ以前にも複数の民間人がソユーズで宇宙へ飛んでいたが、費用を自己負担したのは彼が最初。だからティトは、人類初の「宇宙旅行者」とされている。

現在80歳のティトは2001年4月に、2000万ドルを払ってロシアの宇宙飛行士2人と共にソユーズに乗り込み、8日間の宇宙旅行を楽しんだ。「置いてあった鉛筆が浮き上がって、窓からは暗闇に浮かぶ丸い地球が見えた」。今年4月に彼はCNNの番組でそう語り、「もしも体が元気なら」という条件付きでこうも言った。「(イーロン・マスクの会社スペースXが開発した)スターシップに乗り込んで、火星に初上陸する仲間に加わりたい」と。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

アングル:値上げ続きの高級ブランド、トランプ関税で

ワールド

訂正:トランプ氏、「適切な海域」に原潜2隻配備を命

ビジネス

トランプ氏、雇用統計「不正操作」と主張 労働省統計

ビジネス

労働市場巡る懸念が利下げ支持の理由、FRB高官2人
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 3
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿がSNSで話題に、母親は嫌がる娘を「無視」して強行
  • 4
    カムチャツカも東日本もスマトラ島沖も──史上最大級…
  • 5
    【クイズ】2010~20年にかけて、キリスト教徒が「多…
  • 6
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅…
  • 7
    これはセクハラか、メンタルヘルス問題か?...米ヒー…
  • 8
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 9
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 10
    オーランド・ブルームの「血液浄化」報告が物議...マ…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 6
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 7
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 8
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 9
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目…
  • 10
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 1
    「週4回が理想です」...老化防止に効くマスターベーション、医師が語る熟年世代のセルフケア
  • 2
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 7
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 10
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中