最新記事

子育て

成功する子供を育てるには、賢さではなく努力を褒めよう

Showing the Love

2021年5月28日(金)11時54分
公園で遊ぶ親子

親が愛情を掛けて見守ってやれば、子供は強い自信を身に付け新たなことに挑戦する IDEABUG/ISTOCKPHOTO

<人生で待ち受ける数々の壁を克服するのに必要な自信は、親の愛情と働き掛けで伸ばすことができる>

赤ちゃんの誕生で両親は、予想もつかないほどの喜びに包まれる。わが子が広い世界を発見していく様子を見守ることができるのだ。赤ちゃんが新たな環境に出合い、新しい経験をするたびに──アイスクリームを味わう喜びから、レモンジュースの酸っぱさまで──両親も子供と共に日々の暮らしの驚きを再発見する。

だが人生はいつも甘い思い出ばかりとはいかず、時に涙は避けられない。年を重ねるにつれ、子供はクローゼットに潜んでいるかもしれないお化けの恐怖から、初めての失恋、人生初のローンの支払いに至るまで、数え切れない困難を経験する。

人生で待ち受ける数々のストレス要因に立ち向かう上で、唯一の心の防御壁になるのは、健全な自尊心だろう。それは両親がわが子に与えることができる最も重要な遺産だ。

「プライドや恥といった『道徳的情動』と呼ばれる感情の兆候は2歳の終わり頃には見え始める」と、トゥレーン大学乳幼児精神衛生研究所のチャールズ・ジーナ所長は言う。「それより前の時期に、自分は大事にされているという感覚を子供がしっかりと持てることが重要だ。それが将来の自尊心につながる」

強い自信と自尊心を持つ子供に育てる秘訣は、実は秘訣でも何でもない。子供が大変な思いをしているときに、安心させてやればいいのだ。「大事にして愛情を伝えてくれる保護者がいる赤ちゃんは、そうした人がいない赤ちゃんとは心の状態が違う」と、ジーナは言う。

人間関係だけでなく知能にも影響

赤ちゃんは、何か困ったことが起きたとき、大抵は泣くことで周囲にそれを知らせる。保護者が自分の精神的苦痛に対処してくれるだろうということを、経験を通じて学んでいく。

反対に泣き声を気付いてもらえない赤ちゃんは、親や世話をしてくれる人との間に強固な絆を結ぶことができない。徐々に築くはずの自信という名の防御壁が築けなくなる。そして、感情面や認知発達の面で数々の問題が起こりやすくなってしまう。

子供たちを就学前の年齢まで追跡調査したジーナの研究では、乳幼児期に必要な世話を受けていない子供は友達との関係がうまくいかない場合が多く、知能テストでも後れを取っていた。

親が子供の心の中をいちいち掘り下げて理解しようとするのは不可能に思える。でも乳幼児は心の内を何らかの形であらわにするものだから、注意深く見守ればわが子の態度からサインを読み取ることができるだろう。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ビジネス

マイクロソフト、トランプ政権と争う法律事務所に変更

ワールド

全米でトランプ政権への抗議デモ、移民政策や富裕層優

ビジネス

再送-〔アングル〕日銀、柔軟な政策対応の局面 米関

ビジネス

3月完全失業率は2.5%に悪化、有効求人倍率1.2
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
特集:英語で学ぶ 国際ニュース超入門
2025年5月 6日/2025年5月13日号(4/30発売)

「ゼロから分かる」各国・地域情勢の超解説と時事英語

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に高く、女性では反対に既婚の方が高い
  • 2
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来が来るはずだったのに...」
  • 3
    タイタニック生存者が残した「不気味な手紙」...何が書かれていた?
  • 4
    ウクライナ戦争は終わらない──ロシアを動かす「100年…
  • 5
    インド北部の「虐殺」が全面「核戦争」に発展するか…
  • 6
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新…
  • 7
    日々、「幸せを実感する」生活は、実はこんなに簡単…
  • 8
    悲しみは時間薬だし、幸せは自分次第だから切り替え…
  • 9
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」では…
  • 10
    クルミで「大腸がんリスク」が大幅に下がる可能性...…
  • 1
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 2
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 3
    MRI検査で体内に「有害金属」が残留する可能性【最新研究】
  • 4
    中国で「ネズミ人間」が増殖中...その驚きの正体とは…
  • 5
    ロシア国内エラブガの軍事工場にウクライナが「ドロ…
  • 6
    日本の未婚男性の「不幸感」は他国と比べて特異的に…
  • 7
    パニック発作の原因の多くは「ガス」だった...「ビタ…
  • 8
    マリフアナを合法化した末路とは? 「バラ色の未来…
  • 9
    使うほど脱炭素に貢献?...日建ハウジングシステムが…
  • 10
    私の「舌」を見た医師は、すぐ「癌」を疑った...「口…
  • 1
    【話題の写真】高速列車で前席のカップルが「最悪の行為」に及ぶ...インド人男性の撮影した「衝撃写真」にネット震撼【画像】
  • 2
    日本史上初めての中国人の大量移住が始まる
  • 3
    日本旅行が世界を魅了する本当の理由は「円安」ではない
  • 4
    健康寿命を伸ばすカギは「人体最大の器官」にあった.…
  • 5
    【心が疲れたとき】メンタルが一瞬で “最…
  • 6
    間食はなぜ「ナッツ一択」なのか?...がん・心疾患・抜…
  • 7
    北朝鮮兵の親たち、息子の「ロシア送り」を阻止する…
  • 8
    【クイズ】世界で最も「半導体の工場」が多い国どこ…
  • 9
    クレオパトラの墓をついに発見? 発掘調査を率いた…
  • 10
    中居正広は何をしたのか? 真相を知るためにできる…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中