最新記事

米軍事

バイデン「アフガン駐留米軍、帰還の時」 完全撤退を正式表明

2021年4月15日(木)09時29分

バイデン米大統領は14日、米同時多発攻撃から20年を迎える9月11日までにアフガニスタンに残る駐留米軍2500人を完全撤退させると正式表明した。写真は14日、ワシントンで撮影(2021年 ロイター/Andrew Harnik/Pool via REUTERS)

バイデン米大統領は14日、米同時多発攻撃から20年を迎える9月11日までにアフガニスタンに残る駐留米軍2500人を完全撤退させると正式表明した。5月1日に撤退を開始する。

ホワイトハウスで行った演説で「われわれがアフガンに向かったのは、20年も前に起きた恐ろしい攻撃のためであり、2021年もそこに留まらなければならない理由はない」とした上で、「わが国で最長となる戦争を終わらせ、米軍を帰還させる時が来た」と語った。

また、米軍が国際武装組織アルカイダ指導者だったウサマ・ビンラディン容疑者を11年に殺害したことなどに触れ、「目的は達成した」と述べた。

アフガン戦争で命を落とした米兵は2448人、米国が投じた戦費は2兆ドルと試算される。アフガン駐留米軍の規模は11年のピーク時には10万人を超えていた。

バイデン氏は「私はアフガンに米軍を駐留させた4人目の大統領だが、この責任を5人目に引き継ぐつもりはない」と明言した。

テロの脅威は1つの国に限定されず、多額の費用を投じて米軍を外国1カ所に駐留させたままにするのは理にかなわないとの見方も示した。

アフガンのガニ大統領はツイッターで「バイデン氏と協議を行い、米国の決定を尊重する」と投稿。「円滑な移行に向け米国の同盟国と協力していく」とした。

NATOも撤退で合意

北大西洋条約機構(NATO)も14日、米軍に歩調を合わせて5月1日に撤退を始めることで合意した。

アフガンではNATO加盟国を中心とする米軍以外の部隊約7000人が現地の治安部隊の訓練などに従事しているが、空輸などの面で米軍に依存している。

NATOのストルテンベルグ事務総長は訪欧中のブリンケン米国務長官とオースティン米国防長官と共に記者会見し、「容易な決定ではなく、リスクが伴う」と述べた。その上で「アフガンとの関係が終わるわけではなく、新しい章が始まる」とし、「NATO同盟国は今後もアフガンの人々と共にあるが、現地の人々が暴力に終止符を打つ持続的な平和を築く時が来た」と語った。

ブリンケン氏は「私がここにいるのは、同盟国やストルテンベルグ事務総長と緊密に協力しながら、当初から確立してきた原則に基づいて仕事をするためで、ともに入り、ともに適応し、ともに出て行く」と述べた。

オースティン氏は、アフガン空軍への支援や治安部隊の給与支払いなど資金面での支援継続を検討する方針を示した。

こうした中、米中央情報局(CIA)のバーンズ長官は、米軍がアフガンから撤退した場合、情報収集と脅威への対処能力は低下するという見方を示した。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・誤って1日に2度ワクチンを打たれた男性が危篤状態に
・新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」分けるカギは?
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

鉄鋼関税、2倍の50%に引き上げへ トランプ米大統

ワールド

トランプ米大統領、日鉄とUSスチールの「パートナー

ワールド

マスク氏、政府職を離れても「トランプ氏の側近」 退

ビジネス

米国株式市場=S&P500ほぼ横ばい、月間では23
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:岐路に立つアメリカ経済
特集:岐路に立つアメリカ経済
2025年6月 3日号(5/27発売)

関税で「メイド・イン・アメリカ」復活を図るトランプ。アメリカの製造業と投資、雇用はこう変わる

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プーチンに、米共和党幹部やMAGA派にも対ロ強硬論が台頭
  • 3
    イーロン・マスクがトランプ政権を離脱...「正直に言ってがっかりした」
  • 4
    3分ほどで死刑囚の胸が激しく上下し始め...日本人が…
  • 5
    あなたも当てはまる? 顔に表れるサイコパス・ナルシ…
  • 6
    【クイズ】生活に欠かせない「アルミニウム」...世界…
  • 7
    「これは拷問」「クマ用の回転寿司」...ローラーコー…
  • 8
    ワニにかまれた直後、警官に射殺された男性...現場と…
  • 9
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
  • 1
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「MiG-29戦闘機」の空爆が、ロシア国内「重要施設」を吹き飛ばす瞬間
  • 2
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」時代の厳しすぎる現実
  • 3
    【クイズ】世界で最も「ダイヤモンド」の生産量が多い国はどこ?
  • 4
    「ウクライナにもっと武器を」――「正気を失った」プ…
  • 5
    アメリカよりもヨーロッパ...「氷の島」グリーンラン…
  • 6
    デンゼル・ワシントンを激怒させたカメラマンの「非…
  • 7
    「ディズニーパーク内に住みたい」の夢が叶う?...「…
  • 8
    友達と疎遠になったあなたへ...見直したい「大人の友…
  • 9
    ヘビがネコに襲い掛かり「嚙みついた瞬間」を撮影...…
  • 10
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 1
    【定年後の仕事】65歳以上の平均年収ランキング、ワースト2位は清掃員、ではワースト1位は?
  • 2
    日本はもう「ゼロパンダ」でいいんじゃない? 和歌山、上野...中国返還のその先
  • 3
    脂肪は自宅で燃やせる...理学療法士が勧める「3つの運動」とは?
  • 4
    「2025年7月5日に隕石落下で大災害」は本当にあり得…
  • 5
    ドローン百機を一度に発射できる中国の世界初「ドロ…
  • 6
    【クイズ】EVの電池にも使われる「コバルト」...世界…
  • 7
    大爆発で一瞬にして建物が粉々に...ウクライナ軍「Mi…
  • 8
    【クイズ】世界で2番目に「軍事費」が高い国は?...1…
  • 9
    部下に助言した時、返事が「分かりました」なら失敗…
  • 10
    今や全国の私大の6割が定員割れに......「大学倒産」…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中