最新記事

クーデター

ミャンマー国軍、選挙実施し勝利した政党に権限移譲を約束 スーチー再び訴追

2021年2月17日(水)10時36分

ミャンマー国軍のゾー・ミン・トゥン報道官は、選挙を実施して勝利した政党に権限を移譲すると表明、先の選挙で選ばれた政府を追放したのはクーデターではないとの認識を示した。写真は16日、クーデターに反対してヤンゴンと南部モーラミャインを結ぶ列車を妨害する住民ら。SNSのビデオより(2021年 ロイター/Than Lwin Times Media)

ミャンマー国軍のゾー・ミン・トゥン報道官は16日、選挙を実施して勝利した政党に権限を移譲すると表明、先の選挙で選ばれた政府を追放したのはクーデターではないとの認識を示した。また、暴力をあおり、公務員を脅迫しているとして、抗議運動を批判した。

一方、勾留されているアウン・サン・スー・チー氏の弁護士によると、スー・チー氏は再び訴追された。

報道官は、政権奪取後初の記者会見で「われわれの目的は選挙を実施し、勝利した政党に権限を移譲することだ」と述べた。

国軍は新たな選挙の実施時期を示していないが、1年間の非常事態宣言を発令している。

報道官は、国軍が長期にわたって権限を保持することはないと発言。「選挙が実施されることを保証する」と述べた。

会見の模様は、国軍が禁止したフェイスブックで国軍が生中継した。

報道官は、スー・チー氏やウィン・ミン大統領を勾留していることに関する質問には、勾留という見方を否定し、法律に基づき、安全のため自宅にとどまっていると述べた。

スー・チー氏は無線機を違法に輸入した容疑で訴追され、17日までが勾留期間となっている。ただ、スー・チー氏の弁護士は16日、警察が、自然災害管理法に違反した容疑でスー・チー氏を再び訴追したと明らかにした。

米国務省のプライス報道官はこれを受け、スー・チー氏の2度目の訴追に懸念を表明した。米国は先週、ミャンマー国軍に対し新たな制裁を科したが、16日に追加制裁は発表されていない。

英国のジョンソン首相も、スー・チー氏が新たに訴追されたことについて、ミャンマー国軍による「でっち上げ」と非難した。

中国の陳海・在ミャンマー大使は16日、ミャンマーの政治情勢について「決して中国が望むものではない」とし、2月1日に起きた国軍のクーデターに関与したとするソーシャルメディア上のうわさを「ばかけている」と一蹴した。

同大使は、クーデターで権力を掌握した国軍と前政府の双方と、中国が「友好な関係」を維持しているとし、中国は「ミャンマーの政変について事前に知らされていなかった」と強調した。

地元メディアとのインタビューが、中国大使館のフェイスブックページに掲載された。

[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2021トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【話題の記事】
・フィット感で人気の「ウレタンマスク」本当のヤバさ ウイルス専門家の徹底検証で新事実
・新型コロナ感染で「軽症で済む人」「重症化する人」分けるカギは?
・世界の引っ越したい国人気ランキング、日本は2位、1位は...
→→→【2021年最新 証券会社ランキング】



ニューズウィーク日本版 トランプ関税15%の衝撃
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2025年8月5日号(7月29日発売)は「トランプ関税15%の衝撃」特集。例外的に低い税率は同盟国・日本への配慮か、ディールの罠

※バックナンバーが読み放題となる定期購読はこちら


今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル上昇、FRBが金利据え置き

ビジネス

FRB、5会合連続で金利据え置き トランプ氏任命の

ビジネス

情報BOX:パウエル米FRB議長の会見要旨

ワールド

銅に50%関税、トランプ氏が署名 8月1日発効
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:トランプ関税15%の衝撃
特集:トランプ関税15%の衝撃
2025年8月 5日号(7/29発売)

例外的に低い日本への税率は同盟国への配慮か、ディールの罠か

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    枕元に響く「不気味な咀嚼音...」飛び起きた女性が目にした「驚きの光景」にSNSでは爆笑と共感の嵐
  • 3
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い」国はどこ?
  • 4
    M8.8の巨大地震、カムチャツカ沖で発生...1952年以来…
  • 5
    一帯に轟く爆発音...空を横切り、ロシア重要施設に突…
  • 6
    いま玄関に「最悪の来訪者」が...ドアベルカメラから…
  • 7
    12歳の娘の「初潮パーティー」を阻止した父親の投稿…
  • 8
    「自衛しなさすぎ...」iPhone利用者は「詐欺に引っか…
  • 9
    街中に濁流がなだれ込む...30人以上の死者を出した中…
  • 10
    日本人の児童買春ツアーに外務省が異例の警告
  • 1
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 2
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの習慣で脳が目覚める「セロ活」生活のすすめ
  • 3
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜つくられる
  • 4
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
  • 5
    航空機パイロットはなぜ乗員乗客を道連れに「無理心…
  • 6
    中国が強行する「人類史上最大」ダム建設...生態系や…
  • 7
    「様子がおかしい...」ホテルの窓から見える「不安す…
  • 8
    タイ・カンボジア国境で続く衝突、両国の「軍事力の…
  • 9
    中国企業が米水源地そばの土地を取得...飲料水と国家…
  • 10
    【クイズ】1位は韓国...世界で2番目に「出生率が低い…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    ウォーキングだけでは「寝たきり」は防げない──自宅で簡単にできる3つのリハビリ法
  • 4
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 5
    幸せホルモン「セロトニン」があなたを変える──4つの…
  • 6
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは…
  • 7
    囚人はなぜ筋肉質なのか?...「シックスパック」は夜…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 10
    いきなり目の前にヒグマが現れたら、何をすべき? 経…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中