最新記事

ドイツ

「君たちのせいだよ」ベルリン地下鉄のマスク着用徹底の秘策とは? 

2020年7月6日(月)15時40分
モーゲンスタン陽子

ベルリン公共交通のユニークなキャンペーンは効果があるか?...... BVG-YouTube

<暑い夏の地下鉄内で、皆がひどい体臭を漂わせれば、人々がマスクで鼻も覆うようになるだろうと、ベルリン公共交通は「デオドラントの使用をやめよう!」と呼びかけるキャンペーンを始めた......>

ドイツの多くの公共スペースでは、今でもマスク着用が義務付けられている。ほとんどの市民が着用義務を守ってはいるようだが、正しく着けているかというと、必ずしもそうではない。最も多いのが、口だけ隠して鼻を覆わないパターンだ。

かねてからユーモアや風刺の効いた広告で知られるベルリン公共交通(BVG)は、暑い夏の地下鉄内で、皆がひどい体臭を漂わせれば、人々がマスクで鼻も覆うようになるだろうということで、「デオドラント(防臭剤)の使用をやめよう!」と呼びかけるキャンペーンを始めた。

悪臭が充満すればみんな鼻を覆う?

ベルリンの地下鉄を運営するBVGは1日、公式ツイッターで、「君たちは他の選択肢を与えてくれなかった(君たちのせいだよ)」という文章とともに、脇の下の臭う人物と「デオドラントの使用をやめよう!」という呼びかけの書かれた黄色いポスターを投稿した。コメント欄には賛否両論あるようだが、たった数日で多くのいいねも付いている。

ただ、ベルリンっ子たちはBVGのこのようなキャンペーンには慣れっこのようだ。BVGはこれまでにも、半分ふざけているようなキャッチフレーズを次々と生み出してきた。昨年にはまた、「すばらしく古くてのろい」ベルリン地下鉄をユネスコ世界遺産に登録してもらおうと、本当に申請したようなので驚きだ。

BVG - Nächster Halt: Weltkulturerbe


ただ、今回の「デオドラント使用中止キャンペーン」がどれだけ功を奏するかは疑問だ。ドイツの地下鉄はもともと臭い。体臭がエチケット違反の北米に比べて、デオドラントを使わない自然派の人も多い。あるいは使っても、アルミニウムなど人体に害のある成分を多く含んだ強力なデオドラントではなく、よりナチュラルな物を使用しているようだ。

今、あなたにオススメ

関連ワード

ニュース速報

ワールド

日中双方と協力可能、バランス取る必要=米国務長官

ビジネス

マスク氏のテスラ巨額報酬復活、デラウェア州最高裁が

ワールド

米、シリアでIS拠点に大規模空爆 米兵士殺害に報復

ワールド

エプスタイン文書公開、クリントン元大統領の写真など
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:教養としてのBL入門
特集:教養としてのBL入門
2025年12月23日号(12/16発売)

実写ドラマのヒットで高まるBL(ボーイズラブ)人気。長きにわたるその歴史と深い背景をひもとく

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開したAI生成のクリスマス広告に批判殺到
  • 2
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 3
    懲役10年も覚悟?「中国BL」の裏にある「検閲との戦い」...ドラマ化に漕ぎ着けるための「2つの秘策」とは?
  • 4
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦…
  • 5
    中国最強空母「福建」の台湾海峡通過は、第一列島線…
  • 6
    待望の『アバター』3作目は良作?駄作?...人気シリ…
  • 7
    おこめ券、なぜここまで評判悪い? 「利益誘導」「ム…
  • 8
    ゆっくりと傾いて、崩壊は一瞬...高さ35mの「自由の…
  • 9
    ロシア、北朝鮮兵への報酬「不払い」疑惑...金正恩が…
  • 10
    一瞬にして「巨大な橋が消えた」...中国・「完成直後…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入ともに拡大する「持続可能な」貿易促進へ
  • 4
    【実話】学校の管理教育を批判し、生徒のため校則を…
  • 5
    「最低だ」「ひど過ぎる」...マクドナルドが公開した…
  • 6
    ミトコンドリア刷新で細胞が若返る可能性...老化関連…
  • 7
    自国で好き勝手していた「元独裁者」の哀れすぎる末…
  • 8
    【銘柄】資生堂が巨額赤字に転落...その要因と今後の…
  • 9
    香港大火災の本当の原因と、世界が目撃した「アジア…
  • 10
    身に覚えのない妊娠? 10代の少女、みるみる膨らむお…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切り札として「あるもの」に課税
  • 3
    日本人には「当たり前」? 外国人が富士山で目にした「信じられない」光景、海外で大きな話題に
  • 4
    【銘柄】オリエンタルランドが急落...日中対立が株価…
  • 5
    「髪形がおかしい...」実写版『モアナ』予告編に批判…
  • 6
    日本の「クマ問題」、ドイツの「問題クマ」比較...だ…
  • 7
    膝が痛くても足腰が弱くても、一生ぐんぐん歩けるよ…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    高速で回転しながら「地上に落下」...トルコの軍用輸…
  • 10
    インド国産戦闘機に一体何が? ドバイ航空ショーで…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中