最新記事

感染症

新たな「パンデミックウイルス」感染増加 中国研究者がブタから発見

2020年7月1日(水)10時51分

米学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に掲載された研究論文によると、中国のブタから見つかった新しいインフルエンザウイルスがヒトへの感染性を高めており、「パンデミック(世界的大流行)ウイルス」になる可能性に備えて監視する必要がある。ただ、専門家らは差し迫った脅威はないと指摘している。写真は2018年3月、広西チワン族自治区で撮影(2020年 ロイター/Dominique Patton)

米学術誌「米国科学アカデミー紀要(PNAS)」に掲載された研究論文によると、中国のブタから見つかった新しいインフルエンザウイルスがヒトへの感染性を高めており、「パンデミック(世界的大流行)ウイルス」になる可能性に備えて監視する必要がある。ただ、専門家らは差し迫った脅威はないと指摘している。

<関連記事:東京都、5日の新型コロナウイルス新規感染263人 9日連続200人超え

中国の研究者チームは2011─18年にブタから見つかったインフルエンザウイルスを調べ、H1N1の「G4」株を発見。これは「パンデミックウイルス候補のあらゆる絶対不可欠な特質」を備えているという。

養豚場の労働者も血中のウイルスレベルが高まっており、「豚産業の労働者を中心に、ヒト個体群の緊密なモニタリングが至急実施されるべき」とした。

論文はウイルスが種を隔てる壁を越えてヒトに移るリスクを強調。特に、飼育場、繁殖用施設、食肉処理場、生鮮市場の近くに数百万人が生活する中国の人口密集地域にリスクがあるとした。

中国外務省の趙立堅報道官は30日の定例記者会見で、「この問題に関して中国は状況を注視している。われわれはいかなるウイルスについても、拡大とまん延を防ぐためあらゆる必要な措置を講じる」と述べた。

世界保健機関(WHO)のリンドマイアー報道官は会見で、WHOは中国の論文を精読すると指摘。「インフルエンザに対して警戒を弱めることができないことを強調しているほか、新型コロナウイルスのパンデミック下でも油断せず、監視し続ける必要がある」と述べた。


[ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます


【関連記事】
・東京都、新型コロナウイルス新規感染54人を確認 6月の感染者998人に
・巨大クルーズ船の密室で横行するレイプ
・今年は海やプールで泳いでもいいのか?──検証
・韓国、日本製品不買運動はどこへ? ニンテンドー「どうぶつの森」大ヒットが示すご都合主義.


20200707issue_cover150.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年7月7日号(6月30日発売)は「Black Lives Matter」特集。今回の黒人差別反対運動はいつもと違う――。黒人社会の慟哭、抗議拡大の理由、警察vs黒人の暗黒史。「人権軽視大国」アメリカがついに変わるのか。特別寄稿ウェスリー・ラウリー(ピュリツァー賞受賞ジャーナリスト)

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ワールド

アングル:ドローン大量投入に活路、ロシアの攻勢に耐

ビジネス

米国株式市場=S&P・ナスダックほぼ変わらず、トラ

ワールド

トランプ氏、ニューズ・コープやWSJ記者らを提訴 

ビジネス

IMF、世界経済見通し下振れリスク優勢 貿易摩擦が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「細身パンツ」はもう古い...メンズファッションは「ゆったり系」がトレンドに
  • 3
    「想像を絶する」現場から救出された164匹のシュナウザーたち
  • 4
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が…
  • 5
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 6
    「二次制裁」措置により「ロシアと取引継続なら大打…
  • 7
    「どの面下げて...?」ディズニーランドで遊ぶバンス…
  • 8
    ロシアの労働人口減少問題は、「お手上げ状態」と人…
  • 9
    「異常な出生率...」先進国なのになぜ? イスラエル…
  • 10
    アフリカ出身のフランス人歌手「アヤ・ナカムラ」が…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 3
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 4
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    アメリカで「地熱発電革命」が起きている...来年夏に…
  • 8
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 9
    ネグレクトされ再び施設へ戻された14歳のチワワ、最…
  • 10
    「二度とやるな!」イタリア旅行中の米女性の「パス…
  • 1
    その首輪に書かれていた「8文字」に、誰もが言葉を失った
  • 2
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 3
    頭はどこへ...? 子グマを襲った「あまりの不運」が話題に
  • 4
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測…
  • 5
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事…
  • 6
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 9
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 10
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中