最新記事

韓国

韓国、新型コロナへの強硬な対応と生活費の支援で、与党圧勝

2020年4月21日(火)17時15分
佐々木和義

新型コロナウイルスに対する強硬な対応と支援策が浮動票の獲得に......Yonhap via REUTERS

<韓国国会議員選挙が行われ、共に民主党が圧勝した。接戦が予想されたが、新型コロナウイルスに対する強硬な対応と支援策が浮動票の獲得に繋がったとみられている......>

2020年4月15日、韓国国会議員選挙が行われ、共に民主党が圧勝した。韓国の国会は一院制で定数300議席。改選前120議席だった与党共に民主党は180議席を獲得した。新型コロナウイルスが文政権の失策を覆い、与党に勝利をもたらしたという見方が有力だ。

自宅隔離違反者への罰則は1年以下の懲役

韓国で新型コロナウイルスが拡散しはじめた1月後半から2月前半にかけて、政府の対応は後手に回り批判を浴びたが、感染が広がった大邱・慶北地区を「感染病特別管理地域」に指定して封鎖した。ソウル市は感染病予防法を根拠に新天地教会の閉鎖を命じ、また光化門広場やソウル広場など集会施設等の使用を禁止。

3月3日、政府は国会で可決していた感染病予防・管理法、検疫法、医療法改正案などいわゆる「コロナ3法」の公布を決定した。

法改正により、感染の疑いがある人が検査を拒否すると300万ウォン(約27万円)以下の罰金が課され、また300万ウォン以下だった自宅隔離違反者への罰則は1年以下の懲役または1000万ウォン以下の罰金に強化した。

1級感染病が流行して医薬品等の値上がりや供給不足が生じたとき、保福祉部長官は輸出や国外搬出を禁止する期間を定め、医師や薬剤師には診療や処方時など、患者の外国訪問情報の確認を義務付けた。感染病が発生している地域から入国、あるいは経由した外国人の入国を禁止できる内容も含み、4月5日から施行した。

国内に住居を持たない入国外国人は臨時施設で隔離

韓国法務部はコロナ3法の施行に先立つ4月1日、すべての入国者に2週間の隔離を義務付けた。有症者は空港で検査を受け、無症状の韓国人と韓国に居住する外国人は自宅隔離、国内に住居を持たない外国人は臨時施設で隔離する。

9か所ある臨時施設の約1600室を外国人の隔離場所とし、1日約10万ウォン(約9000円)の入所費用は本人が負担する。入国者は空港から隔離場所まで乗用車による移動が勧告され、乗用車の利用が難しい場合は、入国者専用の空港バスかKTXの専用車両を利用する。

4月1日から5日に入国した外国人のうち11人が隔離を拒否し、同6日、法務部は台湾人女性に法を適用して強制的に出国させた。観光目的で入国した女性は4月2日に入国したが、割り当てられた施設に到着して以後、隔離費用の支払いを拒絶していた。

ソウル東部地検は4月13日、米国から入国した隔離者への逮捕状を請求した。検査で陰性判定を受けていたが、外出を繰り返したうえ、人が集まる銭湯を利用していたのだ。中央災害安全対策本部が集計した4月4日時点の自宅隔離者3万7248人のうち3万人が海外からの入国者で、137人が自宅隔離違反で摘発を受けている。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

ヘッジファンド、銀行株売り 消費財に買い集まる=ゴ

ワールド

訂正-スペインで猛暑による死者1180人、昨年の1

ワールド

米金利1%以下に引き下げるべき、トランプ氏 ほぼ連

ワールド

トランプ氏、通商交渉に前向き姿勢 「 EU当局者が
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AIの6原則
特集:AIの6原則
2025年7月22日号(7/15発売)

加速度的に普及する人工知能に見えた「限界」。仕事・学習で最適化する6つのルールとは?

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    「史上最も高価な昼寝」ウィンブルドン屈指の熱戦中にまさかの居眠り...その姿がばっちり撮られた大物セレブとは?
  • 2
    真っ赤に染まった夜空...ロシア軍の「ドローン700機」に襲撃されたキーウ、大爆発の瞬間を捉えた「衝撃映像」
  • 3
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別「年収ランキング」を発表
  • 4
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 5
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首…
  • 6
    【クイズ】次のうち、生物学的に「本当に存在する」…
  • 7
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 8
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップ…
  • 9
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 10
    日本より危険な中国の不動産バブル崩壊...目先の成長…
  • 1
    「ベンチプレス信者は損している」...プッシュアップを極めれば、筋トレは「ほぼ完成」する
  • 2
    「弟ができた!」ゴールデンレトリバーの初対面に、ネットが感動の渦
  • 3
    「お腹が空いていたんだね...」 野良の子ネコの「首」に予想外のものが...救出劇が話題
  • 4
    日本企業の「夢の電池」技術を中国スパイが流出...AP…
  • 5
    千葉県の元市長、「年収3倍」等に惹かれ、国政に打っ…
  • 6
    どの学部の卒業生が「最も稼いでいる」のか? 学位別…
  • 7
    イギリスの鉄道、東京メトロが運営したらどうなる?
  • 8
    エリザベス女王が「うまくいっていない」と心配して…
  • 9
    完璧な「節約ディズニーランド」...3歳の娘の夢を「…
  • 10
    トランプ関税と財政の無茶ぶりに投資家もうんざり、…
  • 1
    「コーヒーを吹き出すかと...」ディズニーランドの朝食が「高額すぎる」とSNSで大炎上、その「衝撃の値段」とは?
  • 2
    「あまりに愚か...」国立公園で注意を無視して「予測不能な大型動物」に近づく幼児連れ 「ショッキング」と映像が話題に
  • 3
    10歳少女がサメに襲われ、手をほぼ食いちぎられる事故...「緊迫の救護シーン」を警官が記録
  • 4
    JA・卸売業者が黒幕説は「完全な誤解」...進次郎の「…
  • 5
    ディズニー・クルーズラインで「子供が海に転落」...…
  • 6
    気温40℃、空港の「暑さ」も原因に?...元パイロット…
  • 7
    燃え盛るロシアの「黒海艦隊」...ウクライナの攻撃で…
  • 8
    「小麦はもう利益を生まない」アメリカで農家が次々…
  • 9
    イランを奇襲した米B2ステルス機の謎...搭乗した専門…
  • 10
    「うちの赤ちゃんは一人じゃない」母親がカメラ越し…
トランプ2.0記事まとめ
日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中