最新記事

感染症対策

英政府、人工呼吸器1万台を発注 航空・自動車・F1マクラーレンなどの連合体に

2020年3月31日(火)09時00分

英政府は航空、自動車、エンジニアリングの大手や自動車レースF1のチームからなるコンソーシアムに対し、新型コロナウイルスの感染者が重症化した場合に必要になる人工呼吸器1万台を発注した。写真はロンドン近郊で20日撮影(2020年 ロイター/Mark Hartnell)

英政府は航空、自動車、エンジニアリングの大手や自動車レースF1のチームからなるコンソーシアムに対し、新型コロナウイルスの感染者が重症化した場合に必要になる人工呼吸器1万台を発注した。今週、生産が始まる見通し。

コンソーシアムは欧州の航空機大手エアバス、航空・防衛の英BAEシステムズ、米自動車大手フォード、航空エンジンの英ロールスロイス、F1チームのマクラーレンとメルセデスなど27強の企業・団体で構成、英複合企業スミス・グループ製の呼吸器を従来よりペースを上げて生産する。

コンソーシアムの責任者、ディック・エルシー氏は「世界で最も革新的な企業が複数集められた。このコンソーシアムは現状を改善し、生命を救うための技術と手段を有している」と強調した。

英国の国民保健サービス(NHS)では当初、呼吸器が5000台しか利用可能でなかったが、当局は新型コロナ感染のピーク時には3万台が必要だと試算し、追加調達に奔走してきた。

ジョンソン首相は今月の早い段階で、製造業各社に既存の生産設備を活用して人工呼吸器をはじめとする医療機器の生産を開始するよう緊急要請していた。

英政府が現在所持する呼吸器は約8000台で、数週間内に追加で8000台を確保する見通し。前週は英家電大手ダイソンに新型の呼吸器を発注しており、使用するには保健当局の承認が必要になる。

これとは別に、F1チームのメルセデスを含む別の連合体は、新たな呼吸補助装置を1週間未満で開発したと発表。新型コロナ感染者に使用が可能で、既に病院で試験的に導入している。

[ロンドン ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2020トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

【関連記事】
・「コロナ失業」のリスクが最も高い業種は?
・「アメリカの新型コロナウイルス死者、20万人に上る可能性も」国立感染症研究所所長
・中国、感染しても無症状者は統計に反映せず 新型コロナウイルス感染爆発「第2波」の懸念


cover200407-02.jpg
※画像をクリックすると
アマゾンに飛びます

2020年4月7日号(3月31日発売)は「コロナ危機後の世界経済」特集。パンデミックで激変する世界経済/識者7人が予想するパンデミック後の世界/「医療崩壊」欧州の教訓など。新型コロナウイルス関連記事を多数掲載。

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

米金利先物、9月利下げ確率60%に小幅上昇 PCE

ビジネス

ドル34年ぶり157円台へ上昇、日銀の現状維持や米

ワールド

米中外相会談、ロシア支援に米懸念表明 マイナス要因

ビジネス

米PCE価格指数、3月前月比+0.3%・前年比+2
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:世界が愛した日本アニメ30
特集:世界が愛した日本アニメ30
2024年4月30日/2024年5月 7日号(4/23発売)

『AKIRA』からジブリ、『鬼滅の刃』まで、日本アニメは今や世界でより消費されている

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された米女優、「過激衣装」写真での切り返しに称賛集まる

  • 3

    中国の最新鋭ステルス爆撃機H20は「恐れるに足らず」──米国防総省

  • 4

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた…

  • 5

    アカデミー賞監督の「英語スピーチ格差」を考える

  • 6

    大谷選手は被害者だけど「失格」...日本人の弱点は「…

  • 7

    今だからこそ観るべき? インバウンドで増えるK-POP…

  • 8

    19世紀イタリア、全世界を巻き込んだ論争『エドガル…

  • 9

    「性的」批判を一蹴 ローリング・ストーンズMVで妖…

  • 10

    「鳥山明ワールド」は永遠に...世界を魅了した漫画家…

  • 1

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士が教えるスナック菓子を控えるよりも美容と健康に大事なこと

  • 2

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価」されていると言える理由

  • 3

    タトゥーだけではなかった...バイキングが行っていた「身体改造」の実態...出土した「遺骨」で初の発見

  • 4

    「世界中の全機が要注意」...ボーイング内部告発者の…

  • 5

    医学博士で管理栄養士『100年栄養』の著者が警鐘を鳴…

  • 6

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 7

    ハーバード大学で150年以上教えられる作文術「オレオ…

  • 8

    「たった1日で1年分」の異常豪雨...「砂漠の地」ドバ…

  • 9

    NewJeans日本デビュー目前に赤信号 所属事務所に親…

  • 10

    「すごい胸でごめんなさい」容姿と演技を酷評された…

  • 1

    韓国で「イエス・ジャパン」ブームが起きている

  • 2

    ロシアの迫撃砲RBU6000「スメルチ2」、爆発・炎上の瞬間映像をウクライナ軍が公開...ドネツク州で激戦続く

  • 3

    バルチック艦隊、自国の船をミサイル「誤爆」で撃沈する動画...「吹き飛ばされた」と遺族(ロシア報道)

  • 4

    最強生物クマムシが、大量の放射線を浴びても死なな…

  • 5

    「おやつの代わりにナッツ」でむしろ太る...医学博士…

  • 6

    人から褒められた時、どう返事してますか? ブッダが…

  • 7

    ロシアが前線に投入した地上戦闘ロボットをウクライ…

  • 8

    「燃料気化爆弾」搭載ドローンがロシア軍拠点に突入…

  • 9

    世界3位の経済大国にはなれない?インドが「過大評価…

  • 10

    1500年前の中国の皇帝・武帝の「顔」、DNAから復元に…

日本再発見 シーズン2
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中