最新記事

ブレグジット

英ジョンソン首相が提案する12月総選挙 実現へのシナリオは

2019年10月28日(月)08時06分

ジョンソン英首相(写真)は英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を巡る議会のこう着状態を打破するため、総選挙の前倒しを提案した。ロンドンの首相官邸前で23日撮影(2019年 ロイター/Toby Melville)

ジョンソン英首相は24日、英国の欧州連合(EU)離脱(ブレグジット)を巡る議会のこう着状態を打破するため、総選挙の前倒しを提案した。

ジョンソン氏は、28日に議会で12月12日の選挙実施を求める動議を出すと表明。同氏が総選挙前倒しを提案するのは3回目となる。過去2回の提案は議会で否決された。まずは合意なしのブレグジットを避ける道を確保したいとの反対論が優勢だったためだ。

英国では総選挙は5年ごとに行う規定だが、条件次第では前倒しも認められている。予定通りなら選挙は2022年。具体的にどのような場合に前倒しができるのか。

3分の2の賛成

議会下院定数(650人)の3分の2に当たる434人が賛成すれば、総選挙の前倒しが可能だ。政府も来週、この方法を採ろうとしている。

ジョンソン氏が9月に行った2回の提案には、十分な支持が集まらなかった。9月4日は賛成が298人(反対56人)、その5日後は賛成293人(反対46人)だった。

シンプルな法案

ジョンソン氏には、3分の2の確保という制約を擦り抜ける道もある。議会がどこか特定の日に選挙を行うと布告するというシンプルな法案を提出すれば、下院の単純過半数の賛成で可決できる。

ただこの手続きには問題がある。例えば野党側は恐らく選挙権年齢の引き下げを通じて法案の修正を目指す意向を示唆している。

内閣不信任

下院でジョンソン内閣不信任案が提出され、単純過半数の賛成で可決されれば、選挙への扉が開く。不信任案成立後、14日以内に誰かが過半数の信任を得て新政権を樹立できなかった場合、選挙に突入する。

もっともジョンソン氏自身が総選挙を訴えている以上、不信任案成立による選挙という流れは予想されない。

投票日を誰が決めるか

ジョンソン氏だ。選挙が決まってから投票までに最低限の日数を設けることは法律で義務付けられているが、最長でいつまでに投票日を定めるかの規定は存在しない。

具体的な規定は

選挙の正式決定から投票日までは、土日を除いて最低25日の期間が必要になる。投票日は伝統的に木曜日とされてきた。

前倒し選挙へのハードルは

ジョンソン氏は、前倒し選挙に向けて超党派の支持を得なければならない。だが最大野党の労働党はこれまで、合意なきブレグジットのリスクがあるうちは選挙を支持しないという方針だ。たとえ労働党のコービン党首が選挙に賛成しても、議席を失うことを恐れる一部の議員が造反して前倒し選挙の動議に反対する恐れがある。

[ロンドン ロイター]


トムソンロイター・ジャパン

Copyright (C) 2019トムソンロイター・ジャパン(株)記事の無断転用を禁じます

今、あなたにオススメ
ニュース速報

ビジネス

NY外為市場=ドル横ばい、米労働関連指標を見極め

ビジネス

米11月求人件数、14カ月ぶり低水準 労働需要の減

ビジネス

米国株式市場=S&P500反落、金融株に売り AI

ワールド

トランプ氏の一般教書演説、2月24日の見通し 下院
今、あなたにオススメ
MAGAZINE
特集:AI兵士の新しい戦争
特集:AI兵士の新しい戦争
2026年1月13日号(1/ 6発売)

ヒューマノイド・ロボット「ファントムMK1」がアメリカの戦場と戦争をこう変える

メールマガジンのご登録はこちらから。
人気ランキング
  • 1
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した──台湾高官が分析
  • 4
    ベネズエラの二の舞を恐れイランの最高指導者ハメネ…
  • 5
    「グリーンランドにはロシアと中国の船がうじゃうじ…
  • 6
    マドゥロ拘束作戦で暗躍した偵察機「RQ-170」...米空…
  • 7
    日本も他人事じゃない? デジタル先進国デンマークが…
  • 8
    公開されたエプスタイン疑惑の写真に「元大統領」が…
  • 9
    衛星画像で見る「消し炭」の軍事施設...ベネズエラで…
  • 10
    トイレの外に「覗き魔」がいる...娘の訴えに家を飛び…
  • 1
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチン、その先は袋小路か
  • 2
    【クイズ】本州で唯一「クマが生息していない県」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 3
    【クイズ】世界で唯一「蚊のいない国」はどこ?【2025年の話題クイズ5選】
  • 4
    中国軍の挑発に口を閉ざす韓国軍の危うい実態 「沈黙…
  • 5
    眠る筋力を覚醒させる技術「ブレーシング」とは?...…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    マイナ保険証があれば「おくすり手帳は要らない」と…
  • 8
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「…
  • 9
    アメリカ、中国に台湾圧力停止を求める
  • 10
    中国製防空レーダーは米軍のベネズエラ攻撃に屈した─…
  • 1
    日本がゲームチェンジャーの高出力レーザー兵器を艦載、海上での実戦試験へ
  • 2
    90代でも元気な人が「必ず動かしている体の部位」とは何か...血管の名医がたどり着いた長生きの共通点
  • 3
    ウクライナ水中ドローンが、ロシア潜水艦を爆破...「史上初の攻撃成功」の裏に、戦略的な「事前攻撃」
  • 4
    アジアの豊かな国ランキング、日本は6位──IMF予測
  • 5
    人口減少が止まらない中国で、政府が少子化対策の切…
  • 6
    「腸が弱ると全身が乱れる」...消化器専門医がすすめ…
  • 7
    『SHOGUN 将軍』の成功は嬉しいが...岡田准一が目指…
  • 8
    「勇気ある選択」をと、IMFも警告...中国、輸出入と…
  • 9
    前進するロシア、忍び寄る限界...勝者に見えるプーチ…
  • 10
    【衛星画像】南西諸島の日米新軍事拠点 中国の進出…
トランプ2.0記事まとめ
Real
CHALLENGING INNOVATOR
Wonderful Story
MOOK
ニューズウィーク日本版別冊
ニューズウィーク日本版別冊

好評発売中